6早稲田日本語教育実践研究 第10号/2022/5―173.CJL スタンダーズ開発に関わる CJL ポリシーの詳述(案) 地球社会の中で,既成の国籍や文化では規定することができない複数の文化・言語CJL スタンダーズの開発にあたり,この記述に加え,以下のような詳述を行った。に関わる要件(理解,発見,解決,批判的思考など,より高次のレベルでの能力や,自律性,協働性といった姿勢に関わる能力)(表 1 参照)までも視野に入れたものであることが目指されている。開発作業は,日本語教育研究センターの常勤教員全員により行われた。2021 年度末の段階では,その成果を以下の 3 点に集約することができる。①②に関しては,本稿において現段階のものを公表するが,いずれも開発途上であり,今後も見直しを続け,改良を加えていく予定である。また,③に関しては,最終的には全体像を図に可視化して表したいと考えているが,現段階ではまだ公表できる段階ではないため,概略を説明するにとどめる。① CJL スタンダーズ開発に関わる CJL ポリシーの詳述(案)②総合科目群の目標記述 ver.1③ CJL スタンダーズに基づくカリキュラム設計と評価の枠組み前述の通り,CJL スタンダーズの開発は, CJL プログラム全体の目標を構造化,可視化すること,さらにプログラム全体の中で,指標となることが目指されている。従って,開発にあたっては,CJL 全体のポリシーについてより具体的に把握する必要があった。そこで,目標記述の開発と並行して,CJL の「日本語教育プログラムのポリシー」を CJL 全体のポリシーとして捉え,詳述する作業が行われた。本稿ではまず CJL ポリシーの詳述について述べる。「日本語教育プログラムのポリシー」は,入学者受け入方針(アドミッション・ポリシー;以下 AD),プログラム修了に関する方針(ディプロマ・ポリシー;以下 DP),教育課程の編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー;以下 CP),学習支援に関する方針(サポート・ポリシー;以下 SP)の 4 項目にわたる。CJL ポリシーの詳述はこれら 4 項目に関して行われたが,本稿では特に学習者が身につける資質,能力に関わる DP について述べる 4)。「日本語教育プログラムのポリシー」では,DP に関して,以下のように記述されている。を合わせ持ち,主体的に考え,他者と協働的に行動していくことができる人材の育成を目指す。問題発見解決力,創造的構想力,批判的精神,異文化理解を通して,新たな社会を創出できる地球市民を輩出する。地球市民としての自己形成と自己成長,社会参画を果たすための資質・能力として以下の 6 つの資質・能力を規定し,その育成を図る。
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