77研究報告吉田好美・寅丸真澄/「わせだ日本語サポート」の利用実態と需要に関する調査研究 また,母語での説明や,特定のスタッフによる対応を求めて訪問するといったリピーターの傾向も明らかになった。しかし,上記事項に関する詳細については不十分な点があるため,継続調査を行う予定である。来訪目的や相談内容の下位分類と,より精緻な分析が必要であると考えられる。実態を詳細に把握していくことで,来訪者に対するきめ細かな対応の実現を目指したい。②来訪者への聞き取り調査リピーターに対するインタビューを ZOOM にて実施した。支援を受けた感想としては概ね高評価が得られた。2020 年度は,セッションのみならず,機関の運営をすべてオンラインで行っていたため,特に学生への周知や広報の仕方についても,情報が十分に行き届かなかったというような意見や,その改善策が示された。今回のインタビューは,セッションでの利用実態については十分にヒヤリングができなかった。対面セッションの再開後,対面での利用実態について,詳しく調査をしていく必要があると考えられる。③実態調査とインタビュー調査の整理と還元③①と②で得られた分析結果の整理及び報告は,今後進めて行く予定である。本プロジェクトの目的は,機関の来訪者の利用実態と需要を明らかにすることであった。その成果は,CJL で学ぶ日本語学習者,機関のスタッフ,機関の運営の 3 点において有効であったと言える。来訪者がどのようなことに悩み,支援を必要としているのかという実態を知ることは,日本語学習者に寄り添う支援の在り方を検討する根拠となりうる。また,機関において提供すべき支援の在り方が明らかになれば,そのために必要な姿勢やスキルをスタッフの研修等で育成することができる。さらに,日本語学習者に対する支援とスタッフの育成に必要な環境づくりを目指して,機関運営の方法を模索することもできる。本プロジェクトの成果をこれら三つの観点から活かし,CJL の日本語学習者によりよい日本語自律学習支援を提供していきたいと考える。COVID19 の影響で,対象者のほとんどがオンライン・セッションの来訪者であり,対面5.研究成果の還元(よしだ よしみ,早稲田大学日本語教育研究センター)(とらまる ますみ,早稲田大学日本語教育研究センター)
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