63研究報告木下 直子中村 則子・山中 都・佐藤 貴仁早稲田日本語教育実践研究 第 9 号 2014 年度から 2017 年度まで研究プロジェクトの助成を得て(「日本語音声における自律学習支援システムの開発」研究代表者:木下直子),Web 教材「つたえるはつおん」を開発してきた。現在,Web 教材「つたえるはつおん」は,CJL の日本語クラスのみならず,国内外の日本語学習者に活用されている。その中で初級学習者を対象とした支援の一つとして多言語対応が求められてきた。そこで,2020 年度は Web サイトの動画の充実をはかるとともに,英語をはじめとする 5 か国語の多言語対応を行った。発音が学習できる日本語教育機関が限られている中で,早稲田大学日本語教育研究センターにおいては,初級から上級までの発音教育が受けられる。このことから,発音が学習できることは,早稲田大学の日本語教育の特徴の一つと言える。毎学期発音クラスの受講希望者は多く,定員数を上回ることが少なくない。Kinoshita(2015),中村ほか(2016)によると,学習者が感覚的につかみやすい発音の学習方法や発音の捉え方は異なる。しかし,学習者自身で様々な学習方法を探したり,教材を集めたりするのは難しい。そこで,国内外の多くの日本語学習者が自律的に発音学習を進められ,発音指導に関心のある日本語教育関係者が,教育現場で自由に活用できるよう支援することを目的とし,Web 教材「つたえるはつおん」(www. japanese-pronunciation.com)の開発を始めた。するにあたり,パイロット調査を行った(木下ほか 2017)。この結果にもとづき,発音学習で扱うべき項目を決めた。その内容は,クイズと動画コンテンツに大別される。まず,クイズは,図左の「チェックする」で 10 問のクイズから発音のポイントの理解度をはかり,「結果の把握」をする。文脈の中で発音を聞き分ける問題にしている。結果はカテゴリー別,すなわち日本語の音声項目別に示されるが,初学者のために「カテゴリーの説明」を設けた。このほか,クイズの課題をさらに練習したい人のために,男女 6 名による聞き分け練習や聞き分ける際の「ポイントの解説」を設けている。設置主旨1.開発の背景2.Web 教材「つたえるはつおん」のコンテンツWeb 教材「つたえるはつおん」のコンテンツの検討,およびサイトのデザインを確定音声学習のための Web 教材「つたえるはつおん」の開発
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