早稲田日本語教育実践研究 第9号
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図 2 授業の流れ(きのした なおこ,早稲田大学日本語教育研究センター)早稲田日本語教育実践研究 第9号/2021/59―60 ②課題〈約30分〉テーマの説明課題①導入〈約5□10分〉出欠・授業のねらいスケジュール確認③ディスカッション〈約30分〉グループの意見のまとめ60④全体共有〈約20□25分〉情報共有・ふりかえり 2020 年度春学期に,オンライン授業で場づくりのために工夫した点を 2 点紹介する。 1 点目は,ブレークアウトルーム時のグループディスカッションで,Google slide を活用したことである。トライアルの授業でブレークアウトルームを利用した際,グループで起きていることが把握できず,フィードバックの質が下がった。そこで,話し合いの進捗状況を教師がリアルタイムで確認するために,Google slide を用いた。Google slide は,「編集」に設定してその URL を共有すれば,誰もがオンライン上のスライドに入力できる。各スライドにグループ番号を記載しておけば,1 つのファイルを準備するだけなので,簡便である。教師はオンライン上のスライドに入力されていく文字を見ながら,進展のないグループにはサポートに入ることができる。また,学生たちは,他のグループのスライドを見ることもできた。この方法により,対面のグループディスカッションでは,学生の理解度をうなずく様子や雰囲気で把握していたところがあったが, Google slide の活用によって学生たちの思考が可視化され,必要なフィードバックが把握できた。 2 点目は,ポスター発表を動画の作成に切り替え,Moodle のフォーラム上にアップロードする形にしたことである。これにより,対面の授業と同様,学生自身が関心のある発表を選択して聞くことができた。また,時間的制約もなくなり,学生たちは発表の動画をいくつでも,いつでも,繰り返し見ることができ,さらに,フォーラム上で繰り広げられている議論に数日後であっても入ることができた。この点について学生から「オンライン上で疑似討論ができた」と評価があった。ただ,動画の作成方法,Moodle 上にアップロードする方法の説明,アップロードする際の選択肢の確認が必要となる。授業では, 本科目は,毎学期受講生の 4 分の 1 は大学院生である。彼らは,近い将来,研究発表をして論文をまとめてあげていくわけだが,自分の意見にも他者の意見にも論理の矛盾をつくような「深い問い」ができる学生は限られている。共創的な要素を入れた活動を取り入れるとともに,「深い問い」の意義を考える機会を増やしていくことが課題である。参考文献木下直子・木山三佳・徳田恵(2015)『コミュニケーション・スキルの学び』実教出版経済産業省 HP < https://www.meti.go.jp/policy/kisoryoku/index.html >(2020 年 9 月 4 日閲覧)3.学びの場づくりのための工夫Contents Creation Studio のほか,オンラインストレージサービスを活用した。4.今後の課題

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