57井下田 貴子早稲田日本語教育実践研究 第 9 号 科目名:アカデミック・プレゼンテーションの基礎 6-8 レベル:初級 1・2 /中級 3・4・5 /上級 6・7・8 履修者数:20 名 本科目は,早稲田大学日本語教育研究センター(以下,CJL)の 2020 年度新設科目である。CJL を構成する学習者は多様であり,専門分野も様々である。そのため,受講生がそれぞれ実現したい「アカデミック・プレゼンテーション」は異なり,求められるものも多岐にわたる。これらの特徴を考慮し,本科目では「専門分野が異なる聴衆に配慮し,言い換えや適切な語彙・表現を用いて,わかりやすく説明ができる」ことを第一の到達目標としている。また,「書き言葉/話し言葉の使い分けを意識して,アカデミック・プレゼンテーションにふさわしい表現ができる」こと,「プレゼンテーションの準備を通し,論理的思考力を高める」ことも目標として掲げている。 全 12 回の授業において,大きく 3 つの段階として 1)日本語表現の確認および発表の構成,2)グループ内プレゼンテーション,3)最終プレゼンテーション,に分けて実施した。1)では『アカデミック・ライティングのためのパラフレーズ演習』を用いて練習・確認を行いつつ,並行して発表準備を行うよう指導した。2)3)は 2 段階プレゼンテーションと称し,小グループで集中的に議論を行うことにより修正点を見つけ,全体の前で行う最終プレゼンテーションに備える作業とした。なお,2)ではグループを固定して 3週に渡って実施し,発表者には内省レポート,聴衆にはコメントシートをそれぞれ課題とした後,コメントシートは全て発表者にフィードバックした。3)は 4 週に渡って実施し,1 人 15 分でのプレゼンテーションを行った後,2)と同様に内省レポート,コメントシートの提出を課した。3-1.グループ内プレゼンテーション グループ内プレゼンテーション実施後の内省レポートでは,他の受講生から指摘された点が形式に関するコメントが多かった。例えば、スライド内の図表,文字数,デザイン,―多様な専攻の学生で構成されたクラスでの取り組み―1.授業の目標2.授業概要3.内省レポートにおける意識の変化実践紹介「アカデミック・プレゼンテーション」の実践
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