50早稲田日本語教育実践研究 第9号/2021/43―50 本稿では,MOOCs に提供してきた初級日本語コース SJB の開講および運営に関する報告をするとともに,オンラインコース・教材を開発し,運営する際の留意点,改善点を検討することを目的とした。 コース登録者 49,774 名を対象に行った,受講開始前と受講終了後の受講前のアンケート調査から得られた回答の結果数 8,229,受講後のアンケート調査回答数 Audit Learner 557+Verified Learner 318 から,SJB がかなり多くの日本語学習者の日本語学習に貢献しており,よい評価を得ていることがわかった。また,コースの主な課題としては,1)ひらがな・カタカナの学習機会を増やす,2)文法説明の動画を見直す,3)各課のまとめを設ける,4)発音を確認する機会を設ける,5)会話の機会を検討する,の 5 点が挙げられる。 今後,シリーズ 2 につづき,シリーズ 3 の開講を行っていく予定であるが,上記の点についてできるだけ改善をはかり,国内外の日本語学習者にとって有用な日本語教育の機会を提供していきたい。参考文献大熊伊宗・木下直子・佐野香織・毛利貴美(2019)「edX の「言語学習コース」における動画コ ン テ ン ツ の 役 割 」8th International Conference on Computer Assisted Systems For Teaching & Learning Japanese Proceedings, 239-242.木下直子(2020)「学習効果を高めるブレンデッド・ラーニングの導入を目指して―日本語初級e-learning 教材 “Steps in Japanese for Beginners”の開発―」『早稲田日本語教育実践研究』8.5-12.木下直子・毛利貴美・佐野香織・大熊伊宗(2019)「MOOCs 日本語初級オンライン講座「Steps in Japanese for Beginners」の開発」8th International Conference on Computer Assisted Systems For Teaching & Learning Japanese Proceedings, 152-155.佐野香織・木下直子・毛利貴美・大熊伊宗(2019)「MOOCs における日本語初級オンライン講座で学習者は日本語をどのように学ぶのか―継続性の観点から―」8th International Conference on Computer Assisted Systems For Teaching & Learning Japanese Proceedings, 243-246.(きのした なおこ,早稲田大学日本語教育研究センター)(はまかわ ゆきよ,早稲田大学日本語教育研究センター)(おおくま ただむね,早稲田大学日本語教育研究センター)(えんどう たけし,早稲田大学大学総合研究センター)5.まとめと今後の課題
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