早稲田日本語教育実践研究 第9号
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43ショート・ノート木下 直子・濱川 祐紀代・大熊 伊宗・遠藤 健早稲田日本語教育実践研究 第 9 号  本稿は,2019 年 11 月より MOOCs(Massive Open Online Courses; 大規模公開オンライン講座)の edX に提供してきた初級日本語コース「Steps in Japanese for Beginners」(以下,SJB)の開講および運営に関する報告をするとともに,オンラインコース・教材を開発し,運営する際の留意点,改善点を検討することを目的としている。 SJB のシリーズ 1 は,2020 年 4 月から受講者自身が自由に進度を決められるセルフペース方式で再開講された。本稿ではコース登録者 49,774 名を対象に行った,受講開始前と受講終了後のアンケート調査の中から,①登録者数,②年齢層,③学歴,④専門分野,⑤受講者の国・地域,⑥日本語使用頻度,⑦学習動機,⑧コースで達成したいこと,⑨平均学習時間,⑩学習環境,⑪コース全体の満足度,⑫学習に役立ったコンテンツ,⑬コンテンツの質と改善点について得られた回答をもとに,結果を報告する。  キーワード: MOOCs,edX,日本語,初級,オンラインコース 本稿の目的は,2019 年 11 月より MOOCs(Massive Open Online Courses; 大規模公開オンライン講座)のプラットフォームのひとつである edX に提供してきた SJB の開講および運営に関する報告をするとともに,オンラインコース・教材を開発し,運営する際の留意点,改善点を検討することである。 日本語教育研究センター(以下,CJL)は,早稲田大学の日本語教育を一元的に担っている。しかし,本庄,北九州,西早稲田,所沢キャンパスなどの留学生に対する日本語教育の機会が十分に確保できていなかったため,2014 年度からオンデマンド型と対面の同時双方向型を組み合わせた日本語コースを開発した。その際,LiveOn という Web 会議システムを対面授業に用いたが,同時にシステムに入れる人数には限りがあり,数名しか受講できないという問題があった。また,教材のコンテンツの著作権にも課題を抱えていた。 そこで,2018 年度より WasedaX の予算を得て開発したのが,SJB シリーズである。本コンテンツは,edX で全世界の日本語学習者に公開され,活用されているだけでなく, 本学でも 2019 年 9 月より理工学術院で,そして今年度は CJL のコースで活用されている。 第 2 章では,MOOCs に提供したコンテンツについて簡単に紹介するとともに,開講スケジュール,運営体制について説明する。コンテンツの詳細は,木下ほか(2019),佐野要旨1.背景・目的2.SJB 概要MOOC「Steps in Japanese for Beginners」のコース開講・運営に関する報告

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