23ショート・ノート伊藤奈津美・毛利貴美・岩下智彦・沖本与子/自律学習につなげる学習リソースとしてのCan-do statementsの可能性(2)技能別の記述により弱点を把握できる S5 : CDS は「読む」「書く」「聞く」「話す」の 4 つに分けてやるから,自分の弱い部分がわかりやすいと思う。 S10: 4 つの部分に分けられているから,いろいろな面から自分の能力が考えらえる。(3)自分の学習に対する自信を獲得する S1 : (学期開始時と学期終了時の)2 つの CDS 調査結果を比較して,もっと自信を持った。 S2 : 自分の日本語が上手になっているかどうか全然わからなかったから,(学期開始時より)日本語ができるようになったことがわかってよかった。勉強が無駄になっていないことがわかった。 S13: 自分の成長が見えて達成感がある。(1)(2)のように,学期終了時の振り返りでは,自身の能力の伸びや不足部分が可視化され,より客観的に学習を評価できるようになったことがわかった。さらに(3)のように,CDS の結果からこれまで自分自身が続けてきた学習を肯定的に捉え,達成感を得た感情が新たな学習動機につながっていたケースもあった。このように CDS を継続して行うことで,客観的に学習を振り返るメタ認知的機能や,学習動機を高める情意面での機能があったことが確認された。また,次の(4)(5)では,学習者がメタ的に自分の学習を振り返り,次のステップとしてどのような学習が必要なのかという意識づけがあったことがわかった。さらに,(6)では,学習者側から教師による CDS を用いた学習アドバイスが提案されるなど,CDS を学習支援のツールとして使用するニーズがあることも示された。(4)学習目標の設定・学習計画の作成 S9 : CDS の結果を見た後は自分がどのくらい進んだか,進歩がわかる。そして,自分の能力の不十分な部分もわかるから来学期は,その部分をもっと頑張って勉強したい。 S12: (春学期終了時の調査結果を見て)自分がまだできていないところを参考にして,秋学期にどの授業を選ぶか決めた。 S13: CDS を見て,中級レベルだったら次はこんな感じになれたらいいかなと思う。(5)具体的な学習項目の把握 S1 : 具体的な問題について,普段自分もあまり気づけていなかったところがわかりました。たとえば,新聞を読むこととかクラスメイトとディスカッションするところとか,すごくよくチェックできました。 S14: (CDS にある項目を見たとき)自分が気づいていなかった項目があったことがわかって,すごく助かりました。
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