早稲田日本語教育実践研究 第9号
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21ショート・ノート伊藤奈津美・毛利貴美・岩下智彦・沖本与子/自律学習につなげる学習リソースとしてのCan-do statementsの可能性学期開始時学期終了時5.99 6.27 5.89 6.58 6.18 6.47 5.59 6.08 5.91 6.35 表 1 CJL 各レベルにおける CDS 平均値(n = 79)5 レベル(n= 24)学期開始時学期終了時5.46 5.69 5.70 5.38 5.56 6 レベル(n= 15)学期開始時学期終了時5.60 6.11 5.29 6.10 5.55 6.06 5.03 5.87 5.37 6.03 CDS 平均値は,いずれのレベル,技能においても学期開始時から学期終了時に上昇して4.インタビュー調査3-2.分析方法研究課題 1 の分析は,調査協力者による CDS への回答を集計し,受講レベル別および技能別に学期開始時と学期終了時の CDS 平均値を算出し,自己評価の変化を定量的に確認した。3-3.CDS 調査からみる自己評価の変化本研究で使用した CDS についても信頼性の検証を行った。学期開始時と終了時の回答について,信頼性を表す値として広く利用されるα係数を算出した結果,それぞれ .964と .952 で信頼性が示された。受講レベルおよび 4 技能別に集計した結果を表 1 に示す。いるという結果が示された。この結果からは,今回の調査協力者全体の傾向として,1 学期間の学習によって,4 技能の自己評価が上昇していたということが言える。4 レベル(n= 40)読む5.02 書く4.95 聞く5.20 話す4.75 平均4.98 一方で,各調査協力者の個別の集計結果を見ると,23 名に学期終了時の第 2 回目の調査で自己評価が低下した項目があった。その理由についてインタビューを行った結果を次章で示す。4-1.調査概要研究課題 2 では,CDS への回答結果をもとに,調査協力者がどのように自らの日本語能力を評価し,意識していたかについて調査を行った。調査協力者は 2016 年度に総合日本語科目 4□6 を履修し,かつ CDS 調査に参加した学習者 18 名(S1 〜 18)である。インタビューは,学期開始時と終了時の各 CDS 項目の結果を調査協力者に見せながら,半構造化インタビュー形式で 30 分程度行った。本調査は,調査協力者の同意のもと IC レコーダーで録音し,文字化した。質問は,主に① 2 回の CDS 調査で「自己評価が伸びた CDS項目」および「自己評価が下がった CDS 項目」についてその理由,② CDS 調査の振り返り,③春学期の CDS 調査の結果を見て,勉強方法や学習計画に影響があったかを中心に行った。

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