早稲田日本語教育実践研究 第9号
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11ショート・ノート杉山 ますよキーワード:演劇的手法,協働,インプロ,内省,気づき早稲田日本語教育実践研究 第 9 号  本論文の目的は「演劇的手法を取り入れた授業」を学生がどのように捉えているかを明らかにすることである。演劇的手法を取り入れた授業とはイギリスのドラマ教育と近く演劇の様々な手法を教育に取り入れた授業である。近年演劇的手法を小中高大で授業に取り入れた報告(渡部淳・獲得教育研究会 2014)や教員養成(川島・芝木 2015),企業研修(高尾・中原 2012)などでの報告がなされるようになってきた。日本語教育向けのテキスト(平田 2012)なども出版されている。またすでに出版されている活動集(石黒他 2011)には演劇的手法を取り入れた活動やインプロの活動と明記したものもある。 この授業の目的は 6 つある。1.協働で問題解決することでソーシャルスキルを磨く。2.創造力を高め発想力をつける。3.思考,発想の多様性を知る。4.共に学ぶ楽しさを知る。5.学生が主体的に学ぶ。6.様々なジャンルの日本語を非言語や待遇性などからも分析し運用できるようにする。 本授業で作るドラマは,クリエイティブ・ドラマ 1)に近い。このような授業をするのは筆者にとって初めての試みであるため,実際に学生がこの授業をどのように捉えているかを振り返りレポートから分析した。2-1.参加者 本授業を履修している学習者は短期留学生,各学部生,院生である。レベルは中級から超級であり,国籍も多様である。ボランティアも毎回 2 人か 3 人加わり,授業のサポートや日本語や日本文化の説明をする。ドラマ作成など基本的に学習者と同様の活動を行う。2-2.授業の流れ 90 分 15 回の授業である。この授業は反転授業の形式をとり,学生が前もって課題(観察,リサーチなど)をしてくる。教師と共に始めの 20 分程度は心と体の準備のためにインプロなどのアクティビティを行う。その後 40 分程度の時間を取り,お互いの作品(事前課題)を共有し,それをもとにグループでストーリーを作りながら,リハーサルを繰り―留学生は演劇的手法を取り入れた授業をどのように捉えたか―1.はじめに2.授業の概要演劇的手法を取り入れた授業の可能性を探る

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