早稲田日本語教育実践研究 第8号
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―漢字 4 のクラス活動の事例から―1.はじめに2.「漢字 4」の授業3.教室活動59頓所 満枝早稲田日本語教育実践研究 第 8 号   科目名:漢字 4  レベル:初級 1・2 /中級 3・ 4 ・5 /上級 6・7・8   履修者数:22 名 「漢字 4」のクラス共通の活動として行われている「語彙マップ」と「短作文」は,個人だけではなく,他者との協働を意識した活動としてデザインされており,具体的な活動の進め方は各クラス担当に一任されている。本稿では,日本語教育研究センターで 2019年春学期に筆者が担当したクラスで行った協働での教室活動について報告する。 「漢字 4」では,中上級の漢字語彙をメタ的観点から整理して,文の中で理解し,他者の力を借りながら自力で漢字知識を増やせるようになることなどを目標としている。使用する教科書には,課ごとにターゲットとなる「学習漢字」が 20 字程度あり,各課のテーマ(漢字の仲間,反対語の漢字,漢語の動詞,漢語の形容詞,同音の漢字)に沿って学んでいく。課の中の練習問題の扱いなどに関しては各教師に一任されている。 教科書を扱う時間と調整しながら時間を設けて行う活動として「語彙マップ」と「短作文」が各 3 回ある。「学習漢字」についての読みや意味,使われる場面などに関して,他の学習者に説明することで自分の理解を見直し整理すること,さらに,他の学習者の説明を聞くことで一人では気付きにくい様々な視点からの知識を広げていくことを目指し,これらの活動を行った。以下で「語彙マップ」と「短作文」それぞれについて振り返る。3-1.語彙マップ この活動の目的は,「習った漢字のことばを増やす。習った漢字がどのような場面で使われるかを考える」である。各課の「学習漢字」から 2 つ選んで,その漢字を使った言葉と意味などをそれぞれ 5 つ以上書く。また,選んだ 1 つの漢字から関連する言葉を繋げて自分の語彙マップを作る。完成させたものを次回の授業で提出することになっている。教師から返却された語彙マップをグループの他のメンバーに見せ,選んだ漢字からどのように言葉を繋げていったのかを説明する。聞き手には,説明をきちんと聞いてもらうために実践紹介持寄り共有する漢字授業

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