早稲田日本語教育実践研究 第8号
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―短作文と言葉集め活動―1.はじめに2.短作文を使った実践57実践紹介佐藤 瑞恵早稲田日本語教育実践研究 第 8 号   科目名:漢字 3  レベル:初級 1・2 /中級 3 ・4・5 /上級 6・7・8   履修者数:20 名 漢字 3 は『KANJI LOOK AND LEARN』を共通教材とし,読み方と使い方がわかる二字熟語や中級漢字語彙を増やし,文中で適切に使えることを目標としている。このレベルでは毎週の課題として語彙マップ,及び短作文が与えられているが,筆者のクラスでは授業内にも短作文を書く時間を作り,文章の中で積極的に漢字を使う姿勢を身につけてもらいたいと考えた。一方の中級語彙を増やすという目標については,「言葉集め」として自作のワークシートを使った活動を取り入れ,関連語彙を増やせるよう工夫した。2-1.漢字を使って一文を書く 学期の前半では,教師が漢字語彙 5 つを選出し (21 課の例:熱心 甘やかす 汚れる 結果 付き合う),学習者がその語彙を使って 1 つずつ例文を書く練習をした。 初めは単純な文(熱心:彼は熱心な人です。)程度しか書けない者が多いが,何度か同じ練習をし,複文で書くよう指導するうちに,徐々に自分の書きたい内容と関連がある言葉を調べて,まとまりのある文を書く者が増えた。中には指定された漢字語彙を使ってストーリー性のある文章を自主的に創造する者もでてきた。2-2.テーマに沿って文を書く 25 課(「平 和 戦 争 政 治 経 済 法 律 際 関 係 義 議 党」)では,テーマを「社会問題」に設定し,自由に短作文を書いてもらった。政治や経済,国際関係といった内容は学習者の関心も高く,書きやすかったようで,自国の政治問題や国際情勢について,漢字を使って意見文を書く者が多かった。作成後は全体に発表をし,クラスメートからの意見も求めたが,まだ意見を言い合える土壌が育っておらず,教師が中に入って意見を引き出す形となった。2-3.ストーリーを作る 27 課(「吉 結 婚 共 供 両 若 老 息 娘 奥 将 祖 育 性 招」)では,漢字 3 における教室活動

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