早稲田日本語教育実践研究 第8号
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早稲田日本語教育実践研究 第8号/2020/49―50 3.実践の詳細の紹介50表 1 推測クイズで使用された漢字語彙の例今日,今月前半,後半,今後(りゅう ろうりん,早稲田大学日本語教育研究センター)休日,休学,早起き,売店,売買読書,書店,帰国,一時帰国持ち出し,持ち帰り,お金持ち第 8 課昼休み,夜中,中心,中秋の名月朝食,朝日,夕日,晩年,手話体力,手首,足首,水道,車道山道,火山,雨林,大空,青空海水,海外,花見,花火,子犬天国,天の川,金魚,人魚,十人十色空気を読む,女心と秋の空第 10 課 非漢字系の初級レベルの学習者に,シラバスの制限内で推測力をいかに育成すれば良いのか。本章では,筆者が模索してきたいくつかの案の中から以下の 2 つを紹介する。3-1.オリエンテーションでの説明 推測力の育成に当たり,まずは学習者に,①漢字が表意文字である,②漢字語彙の意味は個々の漢字からある程度推測できる,という 2 点を明示的に示し,理解してもらう必要がある。そのため,オリエンテーションで次のように学習者に説明している。1)「L」という文字を例に,英語などのアルファベットが表音文字であると説明する。2)「火」「山」を順次提示し,その意味と漢字が表意文字であることを説明する。3) 「火」と「山」を組み合わせた「火山」の意味を想像力を使って考える。答えが出ない場合は,Fire+Mountain=(Fire-Mountain)=Volcano と少しずつヒントを出す。4) その後,a. 漢字は組み合わせによって無限の語彙が作れること,b. 全てを教室で学ぶのは難しいが,個々の漢字から意味を推測できること,c. 本授業では個々の漢字の学習以外に「推測クイズ」で推測力を養うのも目標であること,の 3 点を説明する。3-2.毎週の「漢字語彙の推測クイズ」 毎週の授業ではシラバスで決められた内容を終えた後,漢字語彙の推測クイズを行なっている。クイズでは基本,既習の漢字を組み合わせた漢字語彙(一部慣用句も)を使用する。表 1 には課ごとに使用したものを一部紹介する(各課の新出漢字は教材を参照)。第 1 課一口,一目,一目ぼれ第 2 課第 3 課火力,水力,女子力,生年月日第 4 課女王,王女,王子,王国,国外,母国 第 9 課第 5 課 見学,学食,国会,学会,飲み会第 6 課 大人,大食い,新年,新人,古本入学,入院,新入生,日の出,下町大雨,電力,電車,馬車,人力車駅前,社会人,母校,飲食店,水銀第 7 課参考文献坂野永理・池田庸子・品川恭子・田嶋香織・渡嘉敷恭子(2013)『KANJI LOOK AND LEARN』The Japan Times

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