早稲田日本語教育実践研究 第8号
14/120

10早稲田日本語教育実践研究 第8号/2020/5―12図 5 ブレンデッド・コースの流れ2.0% であった。また,日本語や日本・日本文化に興味がある,新しい学習法で学べると最終課題を提出し,その課題に対してコースの担当教員 3 名がフィードバックをするという流れである。遠藤 2)によると,総登録者数は 2,559 名,修了証取得対象者は 47 名であった。最も登録者の多かった地域は,ヨーロッパの 29.7% で,つづいて北アメリカ 23.7%,東アジア23.1%,ラテンアメリカ 10.3%,南アジア 5.2%,オセアニア 3.4%,アフリカ 2.6%,中東思ったという学習動機が多かった。コース終了後に回収したアンケートの結果によると 3),学習者による SJB1 part1 の満足度は,無料コースの学習者が 90%(修了証取得対象者は 71.4%)と高く,おおむね満足するコースが提供できたと考える。また,コンテンツの中心となる動画内容の質に関する問いについては 5 段階評価のうち,5 の「Excellent」と最高評価を選択した学習者が 100%,修了証取得対象者もすべての学習者が平均以上であると評価していた。アンケート調査結果の詳細については,別の機会にまとめて報告したい。このように満足度が高かった一方で,学習の継続性については,他のオンラインコースと同様,課題を抱えていることもわかった 3)。動画視聴の状況をもとに分析した結果 3)によると,1 日で 2,559 名の 4 割以上がコースを離脱,2 日で 6 割以上が離脱するという傾向を報告している。この離脱に関わる要因を探ってみたところ,学習者が担当教員や TAに質問したり,学習者同士が自由にやり取りできる「ディスカッション」の参加が関わっており,ディスカッション数の多い方が離脱のリスクを減少させる傾向が確認された。このことは,今後のオンラインコースの在り方を見直す上で,示唆に富む結果であると言えよう。3-2.理工学術院国際コース「Japanese1(1)」2019 年秋学期に理工学術院国際コースの学習者を対象に開講した日本語科目「Japanese1 (1)」は,2 単位の必修科目である。CJL 初の e-learning と対面授業を組み合わせたブレンデッド・ラーニングだが,理工学術院の学生であったためか,特にオンラインのシステムで混乱するような状況はほとんど生じなかった。ブレンデッド・コースの流れは,図 5 の通りである。

元のページ  ../index.html#14

このブックを見る