8早稲田日本語教育実践研究 第8号/2020/5―12図 2 語彙・文法・会話動画の学習の流れRepeat,③ Quiz),3)英語による文法説明・練習の動画で 2 段階(① Grammar explanation,Speaking に 4 段階(③ Repeat & Memorize,④ With a hint,⑤ Role play,⑥ Check)の計 6Check は,最初のステップ① Listen と同じ字幕なしの動画を用いた。それには,①でわか(https://quizlet.com/ja)というアプリを利用して,各課で学習した表現のテストを受ける機が進められるように配慮した。具体的には,2)語彙練習用動画で 3 段階(① Listen,②② Practice),4) 会 話 練 習 用 動 画 で は Listening に 2 段 階( ① Listen, ② Understand),段階を設けている。各動画は 5 分程度で短く,CJL の他の授業においても,3)英語による文法説明・練習の部分を見せたり,授業前に動画を見ておくように学生に指示することも可能な長さになっている。中でも,工夫した点は,4)会話練習用動画で,客観視点カメラと主観視点カメラを用いた点である。大熊ほか(2019)は,edX の言語関連コースを分析し,言語学習の動画の多くが一方向的なモデル提示や文法説明が多いことを報告している。そこで,本コンテンツでは,できるだけ動画コンテンツの視聴をしながら練習ができるようにした。例えば,図 3 の通り,話の流れを理解する段階の Listening と口頭練習をする Speakingがあるが,Listening の 2 段階①②は,客観的に場面や状況が理解できるよう,客観視点カメラを利用した。一方,Speaking の 3 段階③④⑤では,学習者に会話の当事者意識を持ってもらうために主観視点カメラを用いて動画を作成している。そして,最終ステップの⑥らなかったことが,⑥の段階で字幕なしでも理解できるようになり,上達を実感できるようにしたいというねらいがある。このように語彙練習用動画,文法説明・練習の動画,会話練習用動画で学習した内容は,学習者自身が自分の文脈で日本語の世界を広げ,社会につなげられるよう,BBS や SNS の場を設定している。各課に設けた 5)小テストは,語彙 5 問,文法 5 問,会話表現 5 問の計 15 問から成る。現行の SJB1 では,有料コース,すなわち修了証の発行を希望した登録者のみ,この小テストが受けられる設定になっている。小テストに入力した回答は,自動採点され,15 問の回答後に点数の形でフィードバックを見ることができる。また,SJB1 の無料コースの学習者にも,何らかの形で自らの学習をふり返る機会があると望ましいと考え,Quizlet会を設けた。このアプリは,ゲーム感覚で表現を覚える機能もあり,学習者から高評価を得ている。
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