て早稲田日本語教育実践研究 第8号/2020/69―11096ゆい(アジア太平洋研究科(GSAPS)修士課程 2 年)自律的な学びというと、他者からの支援というものは必要のないイメージがありました。ですが、ここで留学生支援をしていく過程で、勝手がわからない場所でどのようにその人のオリジナルさ、つまりその人の学び方、ノウハウを再現できるか、または適応させていくのか、にいわば仲介役として関わる人の存在が、相談者にとっては大きな意味を持つことを感じました。ここで、そういった場面に関わることができたのは、今後社会に出て問題解決をするにあたって、別の視点や現場を知るということがいかに大切であるのか、ということを肌で感じる貴重な経験でもありました。今後、早稲田で日本語を学ぶ 1 人でも多くの学生に、ぜひわせだ日本語サポートを利用してもらい、環境の違いによって自分自身の学習方法に生じたちょっとした「違い」を修復し、ベストな学びを体現していただけたら嬉しいです。さゆる(日本語教育研究科修士課程 2 年)わせサポで何をしているのか、と聞かれれば「留学生サポート」と答えることになりますが、その内容は、多岐に渡ります。積極的に関わる事例としては「健康上の緊急事案対応」から「手続き書類の処理」などがあり、受容的に関わる事例としては「一方的に不安や不満をただ聞く」というものまで含まれます。多くは、日本語学習上の相談で、学習リソースの紹介や会話練習の補助、文章のネイティブチェックなどの対応をしています。「友だち」「日本語の先生」「チューター」であり、時には「無口なカウンセラー」になることもあります。わせサポでは多くのことを学ばせてもらいましたが、誰かの役に立ちたいと思ったら「まずは自分が人として信頼してもらうことから始まる」という至極当たり前の事を実感できた 1 年でした。守屋亮(教育学研究科博士後期課程 1 年)自律学習支援というと、卒業式での先生のイメージがあり、一抹の寂しさを感じながらも学習者の華々しい「門出」を見送るようなことと捉えていた。しかし、この 1 年スタッフとして携わり感じたのが、学生が多様であるように自律に至るまでの道筋も千変万化であり、サポート側としてもしなやかな対応が求められること、また彼らの中でもスタッフの位置づけが変化しているということであった。スタッフとして、学習者が最終的には支援を必要としなくなることが 1 つの目標なのだが、中には趣味や長期休みの予定を嬉々として話してくれる学習者もいる。そのような際、必ずしも彼らは我々をスタッフとして接してくる訳ではなく、どこか「ご近所さん」として接しており、こちらの姿勢だけでは成立し得ないのも事実である。すると、お互いの旅路を彩る伴奏者のようなイメージだろうか。これからも相互に「わせサポ」を創り上げ、成長していけたらと願うばかりである。「 わ せ だ 日 本 語 サ ポ ー ト」での経験を振り返っ……スタッフの 学び ……10
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