6早稲田日本語教育実践研究 第8号/2020/5―122.SJB のコンテンツ開発SJB のコンセプトは,「自分のことばを構築し,社会でネットワークを広げていくこと」SJB は,学習者が将来的に CJL で開講している総合日本語 2 レベルを履修する選択もSJB のコンテンツは,これまで CJL で行ってきた初級クラスの報告(佐野ほか 2019a)表 1 SJB シリーズ 1 のコース内容タイトル課のねらいあいさつができる自己紹介ができる食べ物についてたずねるファーストフードで注文できる行きたい場所が聞ける授業の情報が確認できる休みの計画や趣味について説明できる友だちをイベントに誘うことができる自分の経験について話せる許可が得られる家族が紹介できるコース終了後に見えてきた課題について報告したい。である。オンラインの授業は,受け身の学習になりがちであるが,日本語学習者にとって現実場面で起こりうる場面を設定し,より主体的に言語運用能力が身につけられることをねらいとしている(木下ほか 2019)。e-learning では,学習の継続性が課題になることが多く,MOOCs で修了までたどり着けるのは,平均 15% 程度だという(重田 2014,Jordan 2015)。そこで,小さな達成感を多く経験することが,新たな学習動機につながり,学習が継続すると考え,インストラクショナル・デザイン(Merill 2002,向後 2012 など)を参考に,スモールステップを多く設けた。できるよう,総合日本語 1 レベルを 3 分割し,進度や内容を調整した。3 分割したそれぞれをシリーズと呼ぶが,各シリーズは 12 課で,全 3 シリーズ 36 課分を作成した。理工学術院では,1 学期で 1 シリーズを扱うが,edX では,各シリーズ 12 課をさらに 4 課ごとに 3 つの part に分けた。全体的に初級の語彙,文法,文型を用いているが,場面に必要な表現があれば,特に初級の文法や文型でなくてもチャンクとして扱い,導入している。2-1.SJB のコース内容や理工学術院との会議や実際の授業を通して得た情報をふまえ,英語学位プログラムの留学生が大学生活の中で必要となる日本語を想定し,内容を選択した。表 1 は,SJB シリーズ 1(以下,SJB1)のコース内容を示したものである。Lesson 1 おはようございますLesson 2 わたしは 大学生ですLesson 3 えび だめなんですLesson 4 ハンバーガー ひとつくださいLesson 5 本屋は どこですかLesson 6 ここから 駅まで どのくらいかかりますか 目的地までの行き方と所要時間が聞けるLesson 7 どんな授業ですかLesson 8 今度の休みに 何をしますかLesson 9 いっしょに 練習しませんかLesson 10 友だちと 横浜で 遊びましたLesson 11 写真を 撮ってもいいですかLesson 12 ジャカルタに 住んでいます
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