5センター最前線池上摩希子/「全学的」な教育機関であるために1032339017518419119222024421118425114416018068711,052861,042893224134191212202184258240241191230213188166195691,142611,033731,0974.CJL にとって「全学的」である意味2014 春 2014 秋 2015 春 2015 秋 2016 春 2016 秋 2017 春 2017 秋 2018 春 2018 秋総合日本語 1総合日本語 2総合日本語 3総合日本語 4総合日本語 5総合日本語 6計1321551961827843-2.キャリアを形成する日本語学習 次に,6 レベルのクラスの履修者数に注目します。6 レベルは「上級前半」に位置づくとされ,6 以上の 7,8 レベルは,一般学生向けに開講される大学の授業に参加できるレベルとされています。表 1 では,6 レベルの履修者数の推移はほぼ横這いと言えそうですが,履修者数全体が増えているのを見ると,相対的な人数は減っていることになります。6 レベルの学習者が CJL のプログラムで半年または一年間日本語を学習して,日本語で行われる大学の授業が受講できるようになれば,かれらの将来の選択肢は今以上に広がると思われます。日本でキャリアを形成していくための知識と教養,そして日本語が身に付くからです。こうした学習者に対しては,日本での就職や大学院進学を視野に入れた支援が求められるでしょう。大学の文脈では「出口支援」といった呼ばれ方もするようですが,ここではキャリアを形成する支援,そのための日本語学習としました。 このように考えると,このレベルの学習者が増えないままでいることは,大学全体のグローバル化にとって,あまりよいことではないように思われます。大学で学んだことを次のライフステージで活かせなければ,何のために留学という道を選んだのか,となるでしょう。例えば,半年か一年,日本語を学んだ後,日本で就職したい,または大学院に進学したい,というニーズを持つ優秀な学生が海外にはまだ多く存在するはずです。こうした留学生予備軍にとっては,半年も一年も CJL のような機関で日本語だけを勉強するというプログラム内容では,大学への留学そのものがあまり魅力的には映らないのではないでしょうか。大学に在籍して日本語を学ぶのであれば,大学に在籍していること自体が利点とならなければなりません。CJL としては,前述の総合科目群が「日本語を学ぶ」科目であるとすれば,もう一本の柱であるテーマ科目群を「日本語で学ぶ」科目,多様な内容をテーマとする科目群としてプログラムを準備し提供しています。しかしながら,CJL の日本語科目に留まらず,同じ大学で開講されている学部の授業を履修したり聴講したりできるのであれば,留学へのモチベーション,そして日本語学習へのモチベーションはより高くなると期待できます。残念ながら,現状ではこの点での CJL と他箇所との連携や接続はまだ不十分であって,機能しているとは言えない状況にあります。 課題とされる「開放性」に論を戻すと,CJL が全学の教育研究機関として開放性を確保表 1 総合日本語のレベル別 履修者数の推移401426015016114416220917920516519918716615016579867272929804941
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