早稲田日本語教育実践研究 第7号
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CJL の教員たちが,CJL 発足の経緯をはじめ,これまでの歩みやこれからの役割,意義に CJL のすばらしさは,履修生の数や授業内容だけでなく,これまで輩出してきた人材にCJL の今後の課題とは「CJL の現在と未来〜世界における日本語教育イニシアティブを目指して」をテーマに, 第一部では,早稲田大学国際担当理事(当時)である森田典正国際学術院教授を筆頭について力強く語りました。森田教授: 早稲田大学の日本語教育の歴史は,外国人学生特別選抜制度が始まった 1955 年に入学した 24 名の留学生への教育に端を発しています。1962 年に国際部が特殊学校として留学生を受け入れるようになったことから,日本語の履修生が一気に増え,1966 年には 289名の留学生が本学で日本語を学んでいました。 その後,1980 年代に日本語教育の需要がさらに拡大し,1988 年に本学は日本語教育研究センター(CJL)を設置しました。当時,500 名弱だった在籍者数は,今やその約 5 倍の 2,265 名に拡大し,毎週 650 コマの授業が開講され,196 名の教員が指導にあたっています。大学の日本語教育機関としては,その規模は世界最大級にまで成長しています。も見て取ることができます。たとえば現在,ハイデルベルグ大学で日本中世美術史を教えているメラニー・トレイル先生らをはじめ,本学で日本語を学んだ研究者は,私が知るところでも,枚挙に暇がありません。 本学のビジョンを示す「Waseda Vision 150」の中の Waseda Ocean 構想では,2032 年までに受入れ留学生を 1 万人まで拡大することを目標としています。これが実現すれば,現在の倍の規模となります。容易に実現できることではありませんが,大きな課題として,今後いかにして 400 人規模の優れた日本語教育者を確保していくかということがあります。 また,「日本語教育研究センター」の名称に「研究」の名を残していますが,このことは極めて重要な要素だと考えています。CJL の主な目的は日本語教育ですが,その現場は,いわば日本語教育の臨床の場であり,日々の実証的研究の基礎となる役割を担います。次の 10 年,20 年,30 年に向けて,CJL がますます充実,発展するよう尽力したいと考えています。 続いて第二部では,教職員,学生が登壇し,パネルディスカッションを実施しました。それぞれの立場から率直な意見が交わされました。モデレーターは,CJL 所長(当時)の舘岡洋子国際学術院教授が務めました。 冒頭で舘岡教授は,「日本の学生と留学生双方の立場から様々な意見をお聞きし,また,大学として CJL をどのようにより良くしていくべきか,そのヒントを得られる場にしたいと考えています」と呼びかけるところからスタート。現在,CJL が抱える課題について述べました。51年度報告年度報告

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