早稲田日本語教育実践研究 第7号/2019/45―46 3.学生の取り組みと振り返り4.今後の課題よっては教師のフィードバックを見ない学生もいる。そのため他者が加わることで,また発表する機会を設けることで意識化される。この過程が重要なのである。それから学生は予習してきたオノマトペと説明,例文が書かれたタスクシートと練習問題に基づき,例文を読み,分からない点があれば質問する。教師は必要であれば説明を加えたり,学習するオノマトペを使い,学生に例文を作らせたり,教師が他の文を提示したりする。この授業は学生が主体となり,学ぶ。教師は学生の疑問や理解が困難である事柄について補足,サポートする立場をとっている。 最後に宿題として,学習したオノマトペが使われている日常の生活を扱った 4 コママンガを取り上げ,どのような場面か学生に説明させて,その説明を書いてくることと,そのオノマトペを使った会話と文章を書いてくることを課す。この宿題は学生に学んだオノマトペの理解の確認のための復習課題である。 学生が作成した課題の会話は習ったオノマトペを自分の文脈に落とし込んでよくできている。また既習のオノマトペを使ってグループで相談し,全員参加型のロールプレイを作成し,発表するという活動を行う。この活動は毎回お互いにディスカッションすることで復習もでき,さらに多様な使用場面や対人関係などを知ることができるので,勉強になったというコメントが多い。実際ディスカッションは非常に活発に行われている。 また小説からオノマトペを探し意味を調べる活動は実際に使われている文脈がわかり,理解しやすいというコメントがある。様々なジャンルのマンガをグループごとに調査し,発表する活動は使用場面を明確に把握でき良かったというコメントが多い。 学生の学び合いを目的としているので,グループで活動することが多い。始めのオリエンテーションでも説明している。それでもグループ活動が苦手な学生がいるので,その対策を考える必要がある。また予習をせずに,教師の説明を聞く受け身の学生がいて,授業でのオノマトペを使った活動に戸惑う学生がいる。オリエンテーションの際だけでなく,途中で予習重視であることを再度確認する必要がある。(すぎやま ますよ,早稲田大学日本語教育研究センター)46
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