実践紹介―状況,場面に応じてオノマトペを使いこなす―1.はじめに2.授業の概要と流れ杉山 ますよ45早稲田日本語教育実践研究 第 7 号 科目名:オノマトペを学んで,話そう レベル:初級 1・2 /中級 3・ 4・5 /上級 6・7・8 履修者数:35 名 オノマトペは日常様々な場面や状況で使われており,日本語の特徴である。マンガ・アニメや小説,詩,広告などでもよく使われている。それでオノマトペを早期に取り上げることが日本語を学ぶ者にとって有効であると考え,「オノマトペを学んで,話そう」の科目を企画した。目標として日常よく使われている様々なオノマトペを知り,表現形式,発音,リズムを理解できるようになること,学んだオノマトペを日常会話で使えるようになること,またそれぞれのオノマトペと関連する語彙を増やし,使い方を知ること,マンガ・アニメや小説,ドラマなどで使われるオノマトペが理解できるようになることを目指した。 反転授業の形式をとって予習を基本とし,授業中は活動にあてる。ザーザーのような自然のオノマトペやドキドキのような気持ちのオノマトペというようにテーマごとにオノマトペを提示する。これは前の週に配布するもので,学生が予習してくるものである。説明,例文,時に絵も伴ったものと練習問題がある。その練習問題を学生とやりとりしながら授業を行う。その他,発展,まとめの活動を 5 回ほど行う。例えば①小説からオノマトペを探し,その意味を調べる。②オノマトペが使われている詩から意味を調べ,読む。③様々なジャンルのマンガからオノマトペを調べ,グループで発表する。さらに調べたオノマトペを使い 1 分から 3 分ぐらいのシーンを作り,グループリーディング,あるいはロールプレイをする。④オノマトペを使い,グループで相談して詩を作り,グループリーディングを行う。⑤ 3 つのテーマごとにグループで相談して会話を作り,ロールプレイをする。また 3 回に 1 回はまとめのクイズを行う。 90 分の授業は宿題を返却し,フィードバックを行う。学生はペアになって教師が表現や使用場面の適切さなどをチェックした幾つかの会話から一つ選び,読み方,演じ方を考え練習し,発表する。時間によってはそれをグループ内で発表する。この活動の目的はお互いに作成した会話を見せ合うことで,異なる使用場面を知り,教師のフィードバック(修正点や良い点)を見て,理解を深めることにある。ただ返却しただけだと,学生に活動を通して自然に語彙を習得する
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