早稲田日本語教育実践研究 第7号
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1.カタカナ語学習が必要となる授業背景2.授業での取り組み伊藤 宏美43早稲田日本語教育実践研究 第 7 号   科目名:カタカナの世界を見る  レベル:初級 1・2 /中級 3・ 4 ・5 /上級 6・7・8   履修者数:35 名 日本はこれまで,外来文化をおおらかに受け入れてきた。そして,現在は人・物の往来がボーダレス化し,それらとともに,言葉にも変化が見られる。日本人の言語生活でも,カタカナ語使用が増えている。翻訳の過程をふまず,カタカナ表記で入る外国語由来の言葉が増加しているのだ。日本で日本語を学ぶ学習者にとっては,日常生活をおくるにあたり,レベルを問わず,必要不可欠な学習項目のひとつとなったとも言えよう。2-1.カタカナの表記の確認 クラスの設定レベルは中級であるが,カタカナが正確に表記できるか,復習を兼ねて問うてみる。毎学期,カタカナ 50 音がすべて確実に書ける学生は少ない。ひらがなが混じっている,拗長音の表記が正確に書き表せないという問題を再自覚してもらう時間として,重視する学習の 1 つである。その過程で,ふだん口にする食品,服装などカタカナ表記されている語彙の復習を行い,カタカナ語に慣れる時間をとっている。2-2.プレゼンテーション 学期中に中間と期末の 2 回に分け,1 人 3□5 分程度のプレゼンテーションを行っている。テーマは以下の通り,異なる視点からカタカナ語に光をあてている。学生は,携帯カメラ,デジカメなどでカタカナ語の写真をとり,語源を自分自身で調べ,映像とともに,どこで,どのように使用されている語彙なのかを発表する。【中間のプレゼンテーション】 「生活,街のなかでみつけたカタカナ語」身の回りでみかけたカタカナ語を探す。【期末のプレゼンテーション】 「 新聞・小説・雑誌,インターネット上のニュース等からのカタカナ語」をピックアップし,発表する。2-3.カタカナ語を使用した表現 例えば,「エンジンがかかる」「エンジンをかける」等の慣用的にカタカナを使用した表現を学び,語彙力の引き上げを目指す。実践紹介カタカナの世界を見る

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