1.はじめに2.授業の目的3.活動の内容小池 真理41早稲田日本語教育実践研究 第 7 号 科目名:日本語で身体を学ぶ レベル:初級 1・2 /中級 3・4・5 /上級 6・7・8 履修者数:35 名 留学生にとって心身ともに健康に留学生活を送ることは望ましいことである。しかしながら,必ずしも望んだようにはいかないこともある。予想外の病気になることや怪我をすることもあり得るが,その時にどのように対処すべきか,どのように伝えるべきかなどの基本的な知識があれば,落ち着いた行動ができるであろう。また,日々の健康管理を心がけていれば,避けられる病気や怪我もあるだろう。本科目は,健康管理の方法及び病気や怪我をしたときの対処法などを学ぶことに主眼を置いている。 授業の目的は,以下の四点である。①身体,健康,病気,病院などに関する語彙や表現を学び,使えるようにする。②健康管理の方法や,病気になったときの対処法などがわかるようになり,日常生活で対応できるようにする。③健康管理や病気,怪我などの際に必要な表現や情報を入れた冊子を作成し,生活に役立てられるようにする。④身体の部分を使用した表現や慣用句を学び,日本語での身体に対する意識を理解する。 以上のように本科目では,身体の部位,健康管理,病気,怪我,病院,薬局,医療システムなど多岐に渡る分野を扱っているため,語彙も広範囲に及ぶ。しかし,習得を確認するようなテストなどは実施せず,各学生が必要だと思う語彙,表現を覚えること,また必要になったときに参照できるようにすることをねらったものである。 ここでは,語彙の学習という観点に絞って授業活動を述べる。語彙学習の過程として,主に三種の活動がある。①授業中に教師により提示されて学んだ語彙を運用する活動,②自分自身が調べた語彙,内容をグループ活動で共有し,学び合い,さらにクラス全員で共有する活動,③自分自身が調べたいテーマを決め,自ら調べまとめたものを冊子にして,クラス全員と共有する活動である。語彙学習の過程は異なるが,これら三種の活動の共通点は,グループ活動が主でその中で語彙,表現を共有し学び合うこと,そして学習した語彙,表現を繰り返し使用することである。グループメンバーは,基本的に四,五人で,毎回異なる方法でメンバーを決めている。以下に具体的な活動内容を述べる。実践紹介自分に必要な語彙を学ぶ
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