早稲田日本語教育実践研究 第7号
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―言葉の豊かさを体感し自身の言葉を掴んで自己表現―1.はじめに2.目的3.授業概要江原 美恵子35実践紹介早稲田日本語教育実践研究 第 7 号   科目名:俳句・短歌・短い詩を楽しむ,作る,感じる  レベル:初級 1・2 /中級 3 ・4・5 /上級 6・7・8  履修者数:35 名 日本語の語彙力・文法力に限りがあっても,その少なさの中で自分が表現でき,相手を理解しようと努力できればコミュニケーション力は身についていく。日本語を豊かにしていくためには様々な方法があるが,俳句・短歌・詩という型を通し,「自身のことば」を探すことによって作品として相手に手渡す行為は,お互いを認め合い,受け止め合うコミュニケーションになっていく。そのプロセスで日本語のリズム,言葉の広がりを体感し,「日本語のことば」を一人一人が各々の感じ方で豊かにしていくことができるだろう。「ことばは文化である」とよく言われるが,本授業は座学としてではなく,学習者一人一人がそれを実践の中で感じていけることをねらった授業である。・日本の俳句・短歌・短詩がどんなものかを理解できるようにする・日本語のことば,表現を増やす・自己表現のためのことばを発見して使えるようにする 本授業の進め方は,15 回の授業を大きく 4 つの部に分ける。それぞれの部で自分がもっていることば(わたしの言葉Ⅰ〜Ⅳ)を確認する。最初は自分の中にある言葉,授業が進んでいくのに伴い,覚えたことば,好きな/嫌いな言葉,印象的な言葉,表現などプラス要素が確認できるようにする。各活動を述べると①  俳句:まず,写真や絵,本などを見て,そのイメージを言葉に表すことから始め,簡単に俳句の型を抑えて俳句を作る練習をしたのち大隈庭園を散策し,教室に戻って作句(吟行)。5 人くらいずつのグループで披露しあってこれを楽しむ,評価する,一連の活動を終えた後,俳句に関するエッセイを書いて自身で振り返る,最後に学生の全句を共有してフィードバックを行う。②  短歌:俳句と短歌の違いを基本的な部分で抑えてから,背景と言葉,状況を表現する初級レベルでの俳句・短歌・詩の授業

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