1.本科目の概要と開設の経緯2.授業での取り組みと問題点鈴木 由美子活 動TPR,インプロメニュー,ゲーム,ポーズを言語化,動きを言語化,語彙マップ作成コース前半で学習した表現を筆記式で出題。別室で一人ずつ指示通りに身体行動を行う。ある一連の身体動作を日本語で表現しワークショップを行う。ゲーム(かるた,すごろく,塗り絵)語彙マップ作成ある感情をテーマにシナリオを書き,演じる31表 1 2018 年度春学期授業概要内 容早稲田日本語教育実践研究 第 7 号 科目名:身体を動かしながら学ぶ日本語 レベル:初級 1 ・2 /中級 3・4・5 /上級 6・7・8 履修者数:30 名 本科目は日本語学習を始めたばかりの 1 レベルの学習者を想定して設計し 2018 年春学期に開講したばかりの科目である。筆者は 2009 年度から早稲田大学日本語教育研究センターで 1 レベルを担当しているが,これまでの傾向として履修者の半数以上が半年以内の日本語学習歴で,日本語教育研究センターでの学習期間は半年から 1 年以内である。また多くは今後日本語の継続学習の機会を持つ予定がない。年々,片時もスマートフォンを手放さない学生,離席する学生などが増え,グループ活動などで学生間のインターアクションを促すことが難しくなってきたように感じる。 本科目を新たに開設した理由は,上記のような学生を対象にどのようなコース設計なら,学生が教室という「いま自分がいる場所」で教師やクラスメイトという「他者」と言葉を学習する体験を実感できるのかを筆者自身の体験から実証してみたいと考えたからだ。 筆者自身,アメリカ,フランス,タイ,ボリビアで,それぞれ滞在期間は異なるが滞在中現地の言語を学習した経験がある。その時に学び,今でも覚えている単語やフレーズは,身体の動きと共に獲得したという実感がある。継続学習の意欲が今はない学生にとっても,ふとした時に学習内容を思い出せるようなそういうクラスを実現させたいと考えた。 以下の表は 2018 年度春学期に実施した本科目の内容と活動をまとめたものである。時期1 〜 6週目7 週目 中間テスト身体の部位を表す言葉,動きを表す言葉(動詞・副詞・オノマトペ),位置を表す言葉8 週目 発表会9 〜 13感情を表す言葉(動詞・形容詞・オノマトペ),週目色14 週目 最終発表会15 週目 味覚・触覚を表す言葉(形容詞・オノマトペ) ゲーム(箱の中身はなに ?),試食(味覚)実践紹介身体を通して言葉の意味を理解するための試み
元のページ ../index.html#35