□□□□□□□□早稲田日本語教育実践研究 第7号/2019/15―22 まず,形式面に関する項目で最も高い割合を示したのは,「1.構成がわかりやすい」(60 名(85.7%))であり,その次は「2.段落に分かれている」(40 名(57.1%))であった。これらの 2 項目が高い割合を占めたのは,補助教材の冊子でレポートの構成や段落に関する指導を行っているからであると考えられる。しかし,同冊子を用いて指導を行った選択肢項目 9(引用)や選択肢項目 10(フォーマット)に関しては,それぞれ「31 名(44.2%)」「16 名(22.8%)」とやや低い割合を占めており,その重要性についてあまり認識していないことが窺えた。 次は,内容面に関する項目を見てみる。最も高い割合を占めたのは,「5.自分の意見がはっきりと書いてある」で「56 名(78.5%)」であった。続いては「3.レポートのテーマがはっきりしている」(51 名(72.8%))であり,選択肢項目 6 と選択肢項目 7 である語彙・表現・文法の適切さ(両方ともに 32 名(45.7%))より,レポート全般における内容を重視していることがわかった。また,自由記述に「内容の良さ」「面白い」「ロジックが分りやすい」といった回答が見られたことからも,受講生はレポート作成において形式面よりも内容面を意識して執筆にあたっていると考えられる。 それでは実際,受講生が作成したレポートの内容面はどう評価されているのだろうか。次項では,ルーブリック評価表を用いて実施した調査結果および考察について述べる。5-2.ルーブリック評価表調査による結果および考察 ルーブリック評価表調査は,教員と受講生にレポートの初稿について評価してもらい,その評価結果を分析したものである。 以下の表 2 に項目毎にその結果を示す。表の縦軸は評価基準の項目であり,各項目の1□6 は評価基準の下位項目の番号を示す。そして横軸は評価および各下位項目にチェックした人数を示し,各評価項目の人数の合計を割合で表した。例えば,「準備(アウトライン)」の 下位項目 1 の「A+」評価欄をみると,受講生は 17,教員は 5 となっている。これは,受講生の場合は自己評価をするため,17 名の受講生が下位項目 1 について A+評価をつけたということである。しかし,教員の場合は一人の教員が数名の受講生の初稿を評価するため,教員欄の 5 名とは教員の人数ではなく,教員から A+評価を受けた受講生の人数を指す。□□□□□□□ 1. □□□□□□□□□□ □2. □□□□□□□□□ □3. □□□□□□□□□□□□□□□□□□ 4. □□□□□□□□□□□□□□□□ 5. □□□□□□□□□□□□□□□□□ 6. □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 7. □□□□□□□□□□ 8. □□□□□□□□□□□□□□ 9. □□□□□□□□□□□□□□ 10. □□□□□□□□□□□□□□□□□□□ 18図 1 事前調査の選択肢項目(左)とその結果(右)
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