早稲田日本語教育実践研究 第7号
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A+(とても良い)内容早稲田日本語教育実践研究 第7号/2019/15―22     3.ルーブリック評価表についてA(良い)□ 序論:レポートのテーマの背景と問題提起がどちらも書かれている。  レポートの目的だけでは問題提起と考えない。(1.5 点)□ 本論:客観的なデータに基づいて,自分の意見が述べられている。  客観的なデータとは,レポートのテーマに沿った信頼できる情報源である場合。 (1 点)B(もう少し)□ 序論:レポートのテーマの背景と問題提起のどちらかしか書かれていない。または,はっきり書かれていない。(1 点)□ 本論:データに基づいて自分の意見の論拠 を 示 し て い る が,客観的で適切なデータではない。 ウィキペディアや個人ブログなど。なお,データは提示されているが,意見を直接指示する論拠ではない。(0.5 点)C(頑張りましょう)□ 序論:レポートのテーマの背景と問題提起のどちらも書かれていない。  序論がない文章の場合。□ 本 論: デ ー タ の み,または自分の意見のみしか述べられていない。  信頼できない情報源しか書かれていない場 合。 ま た は, 自 分の個人的な意見しか書かれていなくて論拠が示されていな場合。クを用いてアウトプットしたものを自分でモニターし,改善することができるとしていることから,ルーブリックの教育的効果と有効性が示唆されている。日本語教育現場でルーブリック評価表を用いた実践には,山同他(2017)が挙げられる。山同他(2017)では,本学の総合日本語 6 レベル(上級前半)においてルーブリック評価を実施したところ,教員間でルーブリックの評価のずれが見られ,それを踏まえて改善を試みたことが報告されている。しかし,前述した通り,レポートの評価は教員と学生間でもずれが生じているが,現状ではその評価観点の具体的な相違は明らかになっていない。 そこで本調査では,教員と受講生との評価の観点のずれに関して調査することでその評価観点の具体的な相違を明らかにする。まず事前調査で受講生のレポートに対する意識を調べ,分析する。そして,レポートの初稿と修正稿の違いを調査し,ルーブリックを用いた評価の有効性の検証を試みる。 ルーブリック評価表は,本学の「総合日本語 6 レベル」2)と「総合日本語 4 レベル」3)で使われているルーブリック評価表を参考にし,評価基準を調整し「準備(アウトライン)」「構成」「内容」「表現の適切さ」「形式」の 5 項目に分類して作成した。更に各項目には評価のポイントの詳細が示されており,その評価項目にしたがって「A+」から「C」の 4 段階形式となっている。なお,「教員用」と「受講生用」を別途に作成した。 以下,表 1 は教員用ルーブリック評価表の内容項目の一部を抜粋したものである。教員用と受講生用の内容についての文言は同様であるが,教員用には表 1 の下線部のように,評価に対する説明や点数の算出方法,評価の仕方などを詳細に記載してある。表 1 教員用ルーブリック評価表(補足説明付(一部抜粋))□ 序論:レポートのテーマの背景と,背景と明確に関連付けられた問題提起が書かれている。(1.5 点)□ 本論:客観的なデータに基づいて,自分の意見の論拠が導きだされており,説得力がある。 (1 点)16

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