9ショート・ノート佐野香織・齋藤智美・鄭在喜・吉田好美/総合日本語1・総合日本語2履修者実態調査報告2.予備調査概要および結果3.本調査の概要①総合 2 以外の履修科目②予習復習等学習に対する取り組み③総合 2 修了後の科目履修について同上 本プロジェクトでは,1. の背景と実態調査未実施である現状を踏まえ,2017 年度の総合 1 と総合 2 の履修者を対象に,「学習」「日本語学習の継続プロセス」「学習目的」の多様性等について実態調査(質問紙調査およびインタビュー調査)を行った。調査目的は,コースとして,総合 1 は初学であることが履修者の前提であったが実態はどうであるのか,総合 2 は何らかのレディネスをもって学習している履修者が,さらにどのように学習を継続していくのかを把握することである。 まず,本調査に先立ち,16 年度秋学期に総合 1,総合 2 それぞれ予備調査(質問紙調査・半構造化インタビュー調査)を行った。調査概要は表 1 の通りである。①質問紙調査協力者数 質問紙調査の内容②インタビュー調査者数 インタビュー内容 予備調査の結果,総合 1 では,日本語初学者,初来日学生による履修,各学部に設置された英語による学位取得プログラムの必修科目としての履修が多数を占めることが分かった(佐野他 2017)。日本語科目を履修して学ぶ理由としては,「必修科目であるため」が多かったが,その他にも「日本留学に期待する」こと,「日本全般への興味」が記述式自由回答で挙げられていた。さらに学習方法として日本や日本語に関する動画視聴等,学校教育機関での教育やテキストを用いた学習以外の方法も散見された。また,インタビュー調査結果では,それぞれの学生が将来に向けての日本語学習の必要性や自分自身と日本語学習のあり方を考えていた。一方,総合 2 に関しては,学生は漢字科目やテーマ別科目等,各自の興味や苦手分野の強化のための授業も履修している様相が窺えた。継続についても,総合日本語 3,帰国,就職,テーマ別科目,漢字等,形は異なるが,日本語学習継続を念頭に,積極的に取り組む様相が窺えた(齋藤他 2017)。以上の予備調査の結果から,総合 1 は,日本語を学ぶ理由の多様性が際立ち,総合 2 は日本語学習に対する継続の多様性というそれぞれに異なった課題があるということが分かった。 本調査は,2017 年度春学期・秋学期にそれぞれ質問紙調査,およびインタビュー調査を実施した(表 2)。総合 221 名5 名表 1 16 年度秋学期予備調査概要総合 126 名①日本語を学習する理由②日本語の学習方法③総合 1 修了後の学習予定6 名①総合 1 履修動機②日本語の学習方法③日本語との関わり④総合 1 修了後の学習予定
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