早稲田日本語教育実践研究 第7号
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08早稲田日本語教育実践研究 第7号/2019/7―14成り立っている。「総合科目群」とは,四技能をすべて総合的に学ぶ科目のレベル別集合体として位置づけられ,1 から 6 までのレベルが設定されている。「テーマ別科目群」は,履修者の多様な興味・関心に応える単科的な科目群である。そして CJL においては,学習者がオンラインレベル判定テストの結果を参考に,自律的に受講レベルを選択,決定し,履修するシステムとなっている 4)。1-3.本学の状況から見えてきた初級コースの課題 本稿における初級日本語科目とは,上述した総合科目群に属す「総合 1」と「総合 2」を指す。総合 1 は初級前半,総合 2 は初級後半の文型・語彙をもとに四技能を総合的に学習し,日常的な場面で,場面に応じた適切なコミュニケーションができるようになることを目標とした,テキストを用いて進めるコースである 5)。図 1 は 2012 年度から 2016 年度までの総合 1 と総合 2 の履修者推移を示したものである。域,専門などが多様な者が混在して受講しているのが特徴である。当時,筆者らは 2016年度,2017 年度の総合 1,総合 2 レベルのコーディネーターとして,シラバス,スケジュールの作成,同一レベルにおける複数クラスの進度調整等の統括の業務に携わっており,当該科目担当教員としてもクラスで授業を担当していた。その中で,複数の当該科目担当教員から,「学習方法」「日本語学習の継続」「学習目的」といった様々な観点から見た多様性についての戸惑いの声が聞かれるようになった。また,これまでのコース設定には「日本語を学習したい」ということが根底にあったが,近年は単位取得さえできればいい,もしくは,奨学金獲得が目的で良い成績を取るために,意図的に学習レベルを下げて科目を選択するといったケースも目立つようになってきた。つまり,「日本語を学習したくはないが仕方なく履修登録する」という履修者も増加してきていることが窺われた。 このように,教員間では初級の履修者について以上のような認識をしながらも,CJL 内では履修者についての実態調査は未実施の状態であった。 CJL における初級日本語科目は,所属機関が全学にわたっていることや,その国・地2462651791592013□□□□12933062101822014□□2015□□□□23623342016□□400350300250200150100502012□□図 1 総合 1・2 履修者数推移

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