早稲田日本語教育実践研究 第7号
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7ショート・ノート1.はじめに CJL は本学における全学を対象とした日本語教育を一元的に担っている箇所である。毎佐野 香織・齋藤 智美・鄭 在喜・吉田 好美早稲田日本語教育実践研究 第 7 号   キーワード:初級日本語,総合日本語 1,総合日本語 2,多様性,継続性 本稿は,本学日本語教育研究センター(Center for Japanese Language;以下,CJL)2017年度研究プロジェクト「日本語教育における新たな授業・学習の探索とコース開発」の成果を報告するものである。本プロジェクトは,日本語科目履修学生数の増加に伴い,より良い教育実践を目指し,コース運営改善を探ることを目的としたものである。本稿では,プロジェクトとして日本語科目履修実態調査実施に至った背景を説明し,「総合日本語 1」(以下,総合 1)と「総合日本語 2」(以下,総合 2)の履修学生を対象として行った質問紙およびインタビュー調査の実施結果について,日本語を学ぶ理由,継続性に焦点をあてて報告する。1-1.本学における留学生受け入れの状況と背景 日本国内の日本語学習者数は年々増加しており,平成 28 年には 217,881 人に上っている。またその中でも大学機関等に在籍する日本語学習者は,56,672 人と約 4 分の 1 を占める 1)。本学においても,外国人留学生在籍者数のうち通年在籍者数は,2013 年度に 5,834人だったところが,2017 年度には 7,476 人と増加傾向にある 2)。本学の WASEDA VISION 150 においては 3),高等教育・研究に関する国際的環境の変化に対応すべく,外国人留学生数の数値目標として 2032 年に 10,000 人の受け入れを目指しており,それに伴う日本語履修者の増加も予想される。CJL では日本語履修者の数が増え続けており,ここ数年はとりわけ初級層の日本語履修者の増加が顕著である。こうした背景から CJL では,学習者の増加と多様化に伴い,その需要と供給のバランスを考え,より良い教育実践を目指して効果的なコースへと改善していくこと,既存の枠組みを超えた日本語コースについて再考することが喫緊の課題となっている。1-2.CJL における日本語履修システム週 650 コマの授業を開講し,約 200 名の教員が指導に当たっており,科目数の多さ,人的規模においても他に類を見ない機関である。本学には CJL における日本語科目を必修,または選択必修として定めている学部があり,正規の全学各学部の学部生はもとより,日本語教育プログラム生,大学院生,交換留学生,研究者等が一つのクラスに混在して受講している。CJL での日本語科目は,大きく「総合科目群」および「テーマ別科目群」で総合日本語 1・総合日本語 2 履修者実態調査報告

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