94図 3 個別相談4.今後の連携に向けての構想(p.40)。箇所間連携とは,単にお互いの取り組みを紹介し合ったり,情報を共有したりす早稲田日本語教育実践研究 第6号/2018/87―96 後,ライティング・センターのチューターも参加することとなっている。 次に,b.各箇所間で連携して支援実践にあたる場としては,キャリアセンターとの連携が挙げられる。2016 年度秋学期から「サポート」はキャリアセンターとの共催で,昼休みに留学生を対象とした就職活動に関するセミナーと個別相談を開催している。2017年度春学期終了時までに既に 4 回(各学期 2 回ずつ)のセミナーと個別相談会を実施した。セミナーでは,①日本での就職活動スケジュール,②就職に必要な日本語力,③その他,就職活動を行う上での注意点等の説明をキャリアセンター職員が 30 分程度,英語・日本語で行っている。個別相談はセミナーの翌週,セミナーを行ったキャリアセンター職員が「サポート」室に出向して行っている。図 2 就職活動に関するセミナー 最後の,c.支援される側と支援する側の枠を超えて問題を共有する場については,未だ他箇所との具体的な連携実施には至っていない。しかし,2-4 で述べた,キャリアセンターの SCA 育成研修に「サポート」スタッフのみならず,「サポート」来訪者が参加するようになれば,支援者,被支援者という枠を超えた問題共有の場になる可能性がある。 1 章で述べたように,現状では,一人の学生に対する支援実践が各箇所で別個に行われている。これは,複合的な問題を抱えた学生が各箇所をたらい回しにされる原因の一つでもある。また,一人の学生に対し,整合性を欠いた支援が行われている可能性がある。 合同アドバイジングは,ある一つの事例に対し,各箇所の支援者が即興的に協働するという意味で,山住(2008)が主張する「ノットワーキング(knotworking)」(=結び目づくり)とも言える。ノットワーキングとは,「人やリソースをつねに変化させながら結び合わせ,人と人との新たなつながりを創発していくような活動」(p.39)の形態を示す概念である。ノットワーキングは,「いわゆる「チーム」や「ネットワーク」とは異なる」概念である。ノットワーキングにおいては,「チーム」や「ネットワーク」のような「編成が生まれては消え,別のかたちで再度現れる,といった律動がくりかえされる」。また,「要求される課題ごと,その場その場で,コラボレーションの関係を組み替えていく」
元のページ ../index.html#98