早稲田日本語教育実践研究 第6号
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89古屋憲章・木下直子・武田誠・稲垣みどり・太田裕子・舘岡洋子・陳永盛・山田英貴/学習者オートノミー育成に向けた学生支援を考える2.わせだ日本語サポートと各箇所の連携案(SP1)と呼ばれる日本語で教育課程を修了した学生が主である。わらず学生同士がお互いの学習者オートノミーを育て合うピア・サポートへと切り替えていく 5)。 併せて,学生支援実践を行う際に用いるツールとして,共通のポートフォリオを活用することも提案された。 パネル終了後,「サポート」をハブとして,上述した a,b,c の場の構築を目指した各箇所間の連携が開始された。2 章では,各箇所における学生支援の現状を紹介したうえで,「サポート」と各箇所がどのように連携するかに関する構想を述べる。3 章では,2 章で紹介した構想が一部実現した事例を紹介する。 本章では,国際教養学部グローバルネットワークセンター,ライティング・センター,留学センター,キャリアセンターが,留学生に対する支援に関し,「サポート」とのどのような連携を構想したかを報告する。2-1.国際教養学部グローバルネットワークセンター(1)学生支援の現状 「SILS 英語学習アドバイジング」は,国際教養学部(SILS)内のグローバルネットワークセンター(GNC)で SILS の学部生向けに提供されるサービスのひとつである。現在,2 名の英語教育助手により行われており,学生の英語学習に関する相談を受け付けている。学生は My Waseda の申請フォームより,①相談したい案件,② TOEFL,IELTS などを受験した経験のある者はその点数,③海外の滞在経験等を記入し,申請し,日時を予約する。対象者は SILS の学生すべてに開かれているが,今まで利用した学生はスタディプラン 1(2)「サポート」との連携案 「サポート」との連携に関するアイディアとして,まずは「言語学習アドバイジング」の理念の共有が挙げられる。すでに SILS の英語教育助手 2 名が 2017 年 3 月に実施された「サポート」のスタッフ研修に参加し,「サポート」スタッフとともに,「サポート」の理念や「サポート」スタッフの役割を把握した。SILS 英語教育助手の一人は第二言語習得理論(音声)が専門分野,一人は日本語教育(年少者日本語教育)が専門分野であり,二人とも言語教育が専門領域ではあるものの,「言語学習アドバイジング」を深く学んだ経験がないので,「サポート」スタッフとの合同研修は非常に有意義であった。今後も「サポート」運営側が主催する「言語学習アドバイジング」をテーマとする読書会や勉強会等に SILS 英語教育助手が参加する形でともに学び,議論に参加することで,「言語学習アドバイジング」の理念を共有していくことができると考えている。また「理念の共有」のみでなく,「サポート」と「SILS 英語学習アドバイジング」がお互いの実践の事例を開示し合い,ケーススタディ的な手法でアドバイジングのスキルを学ぶことも可能であると考える。ただし「SILS 英語学習アドバイジング」に来訪した学生の個人情報を守秘する必要があるため,個人が特定されるような情報開示を学内といえども,SILS 外の

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