早稲田日本語教育実践研究 第6号
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早稲田日本語教育実践研究 第 6 号 早稲田大学日本語教育研究センター(Center for Japanese Language, Waseda University:以下 CJL)は,来年度(2018 年度)設立 30 周年を迎える。早稲田大学においては,1884年に初の留学生受け入れが,また,1899 年には清国留学生の受け入れが始まり,1905 年には清国留学生部が開設され,以来,日本語教育の長い歴史をもつ。1962 年に開設された語学教育研究所(当時)は日本語教育部門を包摂していたが,そこから日本語教育部門が独立して CJL となったのは 1988 年のことであり,来年度でちょうど 30 年になる。大学の組織としては,CJL は大学院日本語教育研究科(日研)とともに国際学術院に位置づけられてきたが,2011 年に学術院組織を離れて,独立の全学的な教育研究機関となった。つまり,本学における留学生のための日本語の教育を一元的に担うということが組織的にも明確化されたといえよう。CJL の 30 年の歴史の中で,独立の全学機関となってからのこの数年は,増加する留学生の受け入れ機関のひとつとしての CJL の拡大は,大きな特徴としてあげられる。2017 年度を締めくくるにあたり,学習者,プログラム,教育スタッフの観点から現在の CJL の概況をまとめ,これからの方向付けを確認しておきたい。最後に,二度にわたって CJL の所長を務められた吉岡幸英名誉教授が 2017 年 9 月 11 日にご逝去されたことに触れる。生数は,2006 年には 2,368 人であったのが,その 10 年後の 2016 年には 5,431 人と 2 倍以上に増え,現在,112 か国 5,622 人(2017 年 11 月)にのぼる。これは,国内で最も多い。2000 年度の留学生数が 1,153 人だったことを考えると,急増といってよいだろう。現在,全留学生数の半数弱の 2,329 人が CJL で日本語を学んでいる(2017 年度秋学期)。習を希望する学生が日本語の授業を履修するとともに,1 年または半年の「日本語教育プログラム( Japanese Language Program:以下 JLP)」として学外の学習者にも門戸を開いて5―2017 年度を振り返って―1.はじめに2.CJL で学ぶ学習者たちCJL の学習者における一番大きな変化は,留学生数の急増である。早稲田大学の留学CJL は,全学の日本語教育を一元的に担っているために,全ての学部,大学院の日本語学日本語教育研究センター所長 舘岡 洋子【センター最前線】開放性をもった全学機関としてのCJL へ

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