早稲田日本語教育実践研究 第6号
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3木下直子・トンプソン美恵子・毛利貴美・尹智鉉/日本語学習アドバイザーの育成に向けた実践的アプローチの効果の検討表 1 本コース前半 8 回の構成表 2 本コース後半 8 回の構成アドバイジング 3 原則,自律学習早稲田の留学生,わせだ日本語サポートポートフォリオ,振り返り足場掛け,ポートフォリオ,自律学習学習目標,学習スタイル,ビリーフスアドバイジングの会話分析留学生の相談事例,学習リソース,自分の新たな問いを見出すゴール,原理,ニーズ,学習環境実践の振り返り・全参加者のコメント共有自分の「問い」に対する探求・考察・共有他者との関わり方 , 自分の生き方,ポートフォリオの確認79授業内容アドバイジングとは何か/自律学習とは何か今の自分にどんなアドバイジングができるか学習の目標をどのように設定し計画するか 学習計画,ポートフォリオ,PDCA サイクルオートノミー,自律 / 自立,依存,リソース自律するとはどのようなことか動機づけ,学習ストラテジー,メタ認知学びのプロセスを支えるものは何か異文化適応,ラポール形成,アドバイジングの流れ自律学習とは何か/学んだことを自分の生活とどう結びつけるか授業内容自律学習を促すアドバイジングとは何かよいアドバイザーとしての姿勢や態度はどのようなものか日本語学習者の例/学内外のリソース/自らの最終課題を決める学習デザイン・アドバイザーとしてどう取り組んでいくべきか最終課題の発表得られた知見を自分自身の生活とどう結びつけるか学習項目学習項目各回テーマ1 ガイダンス2 日本語学習者の現状3 学習ツールと自律学習4 作品と自律学習5 自分の学習を考える6 アドバイジングとは何か 求められている支援とは何か7 アドバイジング実践(1) よいアドバイザーとなるために何が必要か アドバイジングの実践・振り返り・共有8 自律学習を理解する各回テーマ1 ガイダンス2 学習要因と学習デザイン アドバイジングで考慮する点は何かアドバイザーの姿勢・態度4 事例から学ぶ5 アドバイジング実践(2) 「学習デザイン」をどう描いたらよいか6 アドバイジング振り返り7 発表8 アドバイジングと私た知見を自分自身の生活と結びつけられることの 3 点とし,コース終了時には履修者が留学生に対して自律学習を促すようなアドバイジングができることを目指した。 本コースで用いた理論は,表 1,2 にあるように,学習アドバイジングの Do not 三原則,ポートフォリオ,PDCA サイクル,動機づけ,学習ストラテジー,メタ認知,異文化適応,ラポール形成など自律学習に関わる内容を取り入れた。これらの理論的な側面に加え,アドバイジングセッションの会話分析や履修者自身によるポートフォリオ作成など,アドバイジング実践に向けた具体的な活動もシラバスデザインに組み込んだ。 実際に他者に対してアドバイジングを行うアドバイジング実践は,本コース前半第 7 回および後半第 5 回に設定されている。3 名が「アドバイザー」「アドバイジー」「観察者」役を15 分ずつ交替しながらアドバイジングのセッションを行い,その後に自らのアドバイジングを振り返る機会を設け,共有した。後半では実際に留学生に「アドバイジー」としてセッションに参加してもらい,履修生のアドバイジングについて具体的なフィードバックを得た。 以上のようなデザインで 2016 年春学期に開講した本コースを実施したが,コース終了時に行った調査(木下ほか 2017)では,履修者がアドバイジーに問いかける際に,古屋ほか(2017)のプロセスが描けるような十分な「質問力」を備えておらず,履修者によっては背景を探ることなく,問題を決めつけてしまうなど,問いの内容や進め方にばらつきが見られることがわかった。そのため,2016 年秋学期には,この「質問力」を意識化

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