6早稲田日本語教育実践研究 第6号/2018/5―103.CJL のプログラムCJL のプログラムは,総合科目群とテーマ科目群の 2 本の柱から,また 1 レベルから 8CJL のプログラムの特徴となっている。以下,それぞれの科目群について説明を加える。いる。JLP の学生のうち約 3 割が協定に基づく交換留学生,約 7 割は私費留学生である。外国人留学生の受け入れは,本学の最重要課題のひとつであり,「Waseda Vision 150」では,2032 年には留学生数 1 万人という数値目標を掲げている。グローバル大学として多くの海外の大学を協定校にもち(協定数 496,機関数 560:2017 年度),交換留学生数も増加しており,それが JLP の学生増加にも反映されている。また,国・地域でいうと,多い順に,①中国(34%),②韓国(13%),③台湾(11%),④日本(8%),⑤アメリカ(8%)となっている(2017 年度秋学期)。東アジアからの留学生が多い傾向は変わらないが,近年とくに中国からの留学生が増えてきている。また,日本国籍の日本語学習者というのは,幼少期以降,日本以外の国や地域で育ち日本語を母語としていない学生などで,グローバル化した現代における特徴のひとつといえよう。数の増加のみでなく,近年の傾向としては,大学内における「英語学位プログラム」の拡大による日本語学習者の質の変化があげられる。「英語学位プログラム」とは,入学から卒業まで英語で学ぶことができる英語による学位取得プログラムのことである。現在,本学では政治経済学部,社会科学部,基幹理工学部,創造理工学部,先進理工学部,国際教養学部,文化構想学部の 7 つの学部内に英語学位プログラムが設置されており,大学院では 17 研究科で展開されている。従来,早稲田大学は日本語レベルの高い留学生が多く,したがって CJL での開講科目も上級レベルへのニーズが高かった。これは,日本人大学生といっしょに授業に参加できる留学生ということを考えれば当然の傾向である。しかし,近年の英語学位プログラムの拡大により,必ずしも高い日本語能力は必要とされなくなった。だからといって,日本語学習へのニーズがなくなったというわけではない。英語学位プログラムの中には日本語を必修としている学部もあるし,必修ではない学部の学生たちも日本での生活のために日本語履修をするケースは多い。したがって,CJL では初級の履修者が多くなり,学習者の日本語レベルの構造や日本語学習へのニーズがかつてとは変わってきたといえる。今後,英語学位プログラムの学生たちが日本社会で活躍していくためには,どのような日本語が必要とされるのか,CJL のあり方にもかかわってくる。レベルまで(8 が高いレベル)の 8 つのレベルからなる(図 1 参照)。総合科目群は,四技能(読む,書く,聞く,話す)をバランスよく学習するための科目群で,常勤教員のほか主にインストラクター(非常勤)が担当している。シラバスがある程度,定められており CJL のプログラムの安定的な発展に貢献している。一方,テーマ科目群は,テーマに沿った特色ある学習を提供する科目群で,常勤教員のほか主に非常勤講師が担当している。個性豊かな科目群を揃え,多様な学習目的に対応し
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