521早稲田日本語教育実践研究 第5号/2017/57―73 社会面メタ認知(プロダクト)プロダクト属性・態度技能面メタ認知(プロセス)うまくいった151312 ・「ピア活動の意義をきちんと学生に理解してもらえなかったとき」 「メタ認知(プロダクト)」 ・ 「学生が他の人の作文を読んで,相手の足りないところを見つけると同時に自分の改善すべき点にも気が付いてくれたとき」 ・「ピア活動で出たコメントが学生の中で残っていないなと感じたとき」 「プロダクト」 ・「分かりにくい表現が分かりやすい表現に変わった(直った)時」 ・ 「ピア活動で有益なコメントが出てこなかったり,出てきても最終的にそれがリライトに反映されていないとき」4-2-2.ピア・レスポンスが『うまくいった』と教師が感じた場合に挙げた要素 教師は表 2 の要素のうち,どの要素を基にピア・レスポンスの成否を判断しているのだろうか。表 3 にまとめたように,ピア・レスポンスが『うまくいった』と教師が感じた場合に挙げた要素の延べ人数を多い順に見ると,「社会面」を 15 人,「メタ認知(プロダクト)」を 13 人,「プロダクト」を 12 人,「属性・態度」を 5 人,「技能面」を 2 人,「メタ認知(プロセス)」を 1 人が挙げている。これらの要素については,単独の要素を挙げる教師と複数の要素を挙げる教師がいた。表 3 教師が『うまくいった』と判断する要素(延べ人数) 次に,『うまくいった』と感じた場合の要素の組み合わせを見ると(表 4),単独の要素を挙げる教師より,複数の要素を挙げる教師のほうが多いことがわかる。単独の要素では「メタ認知(プロダクト)」が 5 人で最も多いが,複数の要素では「社会面+プロダクト」が 7 人,「社会面+メタ認知(プロダクト)」が 4 人のように,2 つの要素を挙げた教師が最も多く,中でも,「社会面」との組み合わせが多い。また,28 人中 22 人が「プロダクト」と「メタ認知(プロダクト)」を 1 つないしは双方とも挙げていることから,「社会面」「プロダクト」「メタ認知(プロダクト)」が,『うまくいった』と判断する際の重要な要素であると言えるだろう。62
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