早稲田日本語教育実践研究 第5号
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034567早稲田日本語教育実践研究 第5号/2017/39―56  TACJJ-CAT を参考にしている学習者数が多いことを鑑み,参考として CDS と J-CAT の関連をCDS 平均値,縦軸には J-CAT 得点をプロットした。4.まとめと今後の課題び得点の使用についての同意が得られた 87 名の回答を対象に,CDS と J-CAT の相関係数を算出した 3)。先に述べたように,CJL では学習者自身が様々な要素を考慮し自らレベル選択を行っている。そのための指標の一つとして J-CAT の受験も推奨しており,実際に確認することとした。CDS と J-CAT の得点を散布図にしたものが図 4 である。横軸には 分析の結果,弱い相関が示され,CDS と J-CAT との間に一定の関連性があることが示された(r=.39,p<.001)。同様の分析を行った先行研究と比較すると,島田(2006)では,JLPT と CDS との相関が 0.3 程度,プレースメントテストとの相関が 0.8 程度,今井(2009)では,読解の CDS と J-CAT の総合得点の相関が 0.59 で中程度であったと報告されている。本研究では,先行研究と比べ相関係数がやや低いが,その理由は,調査対象を中級以降のレベルに絞ったことによって,全体の分布が狭まったことが影響しているのではないかと考える。しかし,散布図上でもレベルごとの緩やかなまとまりが確認でき,相関係数でも弱い相関がみられたことは,現在,CJL においてレベル判断の指標として使用している J-CAT と CDS に一定の関連性が見られることを意味しており,CDS が CJL 総合4­6 で学ぶ学習者のレベル判断の指標の一つになり得ることが示唆された。4-1.まとめ 本研究では,2016 年春学期に CJL の総合 4­6 を履修した学習者に対して CDS 調査を行い,CJL が設定する日本語レベルと J-CAT との関連性を検証した。加えて CEFR との関連付けを試行することで,今回調査対象とした総合 4­6 が CEFR を参照した際にどのようなレベルに位置するのかを示した。その結果,本研究の課題については以下のような結果となった。 1) CJL の中級〜上級前半レベルの現状は CDS に基づく能力分布とある程度の一致が見CDS□□□40035030025020015010050□□□□□4 □□□□□5 □□□□□650図 4 CDS と J-CAT 総合得点の相関

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