早稲田日本語教育実践研究 第5号
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早稲田日本語教育実践研究 第5号/2017/39―56  A B C □□□□□□□□□□ □□□□□□□□□ □□□□□□□□□ IInnddeeppeennddeenntt UUsseerr PPrrooffiicciieenntt UUsseerr 40BBaassiicc UUsseerrA1 A2 B1 B2 C1 C2 (Breakthrough) (Waystage) (Threshold) (Vantage) (Effective (Mastery) Operational Proficiency) CDS)の作成に取り組んできた。 CDS の 基 盤 で あ る ヨ ー ロ ッ パ 言 語 共 通 参 照 枠(European Framework of Reference for Languages: Learning, teaching, assessment:以下,CEFR)は,2001 年に欧州評議会によりたのかを把握することは難しいのが現状である。同時に,実際にどのような能力を持つ学習者がどのレベルの科目を履修しているかについても,J-CAT の結果を収集する以外に把握する手段はなく,学習者のレディネスやニーズ分析を行うための十分な資料があるとは言えない。 このような点から,本研究グループでは,学習者自身が言語熟達度を測り,日本語のレベルを判定するための新たな指標として,CJL の総合日本語科目(以下,総合日本語)を履修する学習者を対象とした,自己評価のための能力記述文(Can-do statements:以下,1-2.CEFR と CDS の概要発表された「複数の言語を対象とした学習,教授,評価のための枠組み」である。その目標は,言語教育のシラバス,カリキュラム,ガイドライン,試験,教科書,等々の向上のために一般的基盤を与えることである(吉島・大橋訳編 2004)。学習者・教授者・評価者にとって,CEFR は様々な使用目的があるが,CJL に関連する項目として特に「自律的学習」の一助となる「学習者の自己評価」が挙げられるであろう。これは多様な背景を持った学習者がいる CJL における学習者の主体的な学びを支えるというサポートポリシーとも合致するものである。 この CEFR は図 1 に示すように, A「基礎段階の言語使用者」,B「自立した言語使用者」,C「熟達した言語使用者」の 3 つのレベルがあり,各レベルは更に 2 つの段階に分かれ,合計 6 つのレベルが設定されている。 この CEFR 各レベルを「〜ができる」という表現を用い,具体的な言語行動を表した能力記述文が CDS である。例として,「自己紹介文を短い簡単な文で書くことができる」「日本語初級の教科書にある,ひらがな・カタカナで書かれた短い文章を読んで理解することができる」「教師のごく簡単なアナウンスを聞いて理解することができる」「家族やペットの写真を見せながら,誰の写真か,場所はどこかなど,友人に紹介することができる」などが挙げられる。これらの記述文により,学習者が「日本語で何ができるか」を自己評価することで,言語能力をテストの得点という指標で捉えるのではなく,具体的な行図 1 CEFR のレベル (吉島・大橋訳編 2002,p.23)

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