は思い通りにはならず反省点もあったが、結果的には、活動を終えて現地学生たちが「早大生がきてくれてよかった」と言ってくれた。何か月もかけて 1 から活動の準備をし、ほぼ初めての海外滞在に苦労しつつも現地の学生と同じ生活をし、そして初めて使う英語で授業を行ってプログラムを完遂した。2 週間という短い期間ながらも、多くの忘れられない友人を現地で得ることができた。当初は気が合うとは言えなかったメンバー同士も気が付けば学年の差を超えたかけがえのない友人となっており、グループ内は協力したからこそできたのだというチームワークの達成感に満ちていた。それらの全てが「無価値だと思っていた自分にもできることがあり、人の役に立てるのだ」という自信を筆者に与えてくれるものであった。これらは現状の自分を乗り越えるための一歩として、筆者がそれまでの自分の殻を破ることができた唯一無二の体験であった。 SEND プログラムの経験は、派遣終了後さらに長期のプログラムへ参加したいという気持ちを後押しするものとなった。SEND 終了後、筆者は前述したオーストラリア・インドネシアでの日本語教育活動に参加した。派遣によって自分に自信がつき、更なる自己成長に向けて意欲が湧いたためである。特に日本語パートナーズ事業のインドネシア派遣に関しては、SEND プログラム終了後に鈴木伸子先生に参加を勧めていただいたことがきっかけとなったが、参加した理由はマレーシアに派遣されたことによって、ASEAN 諸国に対する関心が高まったことが大きい。それまで筆者の世界に対する関心は欧米諸国にしか向いていなかったが、派遣を通して東南アジア諸国の社会や文化の魅力を知った。マラヤ大学の学生と交流する中では、どうしてマレーシアに来ることを選んだのか、マレーシアの何が好きかと聞かれることが多かった。筆者がその時マレーシアに行ったのはたまたま派遣先がマレーシアだったためでしかなかったため、あいまいな返事しかすることができなかった。だがマレーシアでは「こんなに面白い国があったのか。なぜアジアに今まで目を向けてこなかったのか」と感じることの連続であった。日本について教えに来ているのに、相手の国について何も知らないような一方通行では日本の魅力を伝えることはできないし、そこに文化交流は生まれない。より世界について知りたいという思いが、インドネシアでの日本語パートナーズ参加に繋がったのである。 SEND プログラムの参加は、筆者の人生において内面や行動を大きく変える転機となった。マレーシア、オーストラリア、インドネシアと続いた経験は確実に自己をステップアップさせていき、卒業後は外国人留学生を観光業界へ送り出すことを目的に「おもてなし教育」を行っている日本語学校に就職することとなった。派遣当時のチームメンバーとの交流は今も変わらず続き、マレーシアで出会った学生たちとも連絡を取り続けている。現地学生とともに過ごしたのは 2 週間という短い時間であったが、互いに自国について教え合い助け合った信頼関係は強い。今でも時々会うと語学力の上昇や近況の変化に驚き、互い□□ □□□□ プログラムが与えた影響 □□ おわりに 年度報告 241
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