筆者は全学共通副専攻制度「日本語教育学研究/マルチリテラシーズ」を履修する一環として 2013 年度に SEND(Student Exchange Nippon Discovery)プログラムに参加した。派遣先はマレーシアのマラヤ大学である。派遣終了後は本プログラムに影響を受けて更に長期の日本語教育活動に参加することを希望し、2014 年 4 月からは 10 か月間にわたるオーストラリアでの日本語教師ボランティアインターンシップ(BBI 日本語教師ネットワーク)に参加し、続いて 2015 年 10 月からは 5 か月間にわたるインドネシアでの“日本語パートナーズ”派遣事業(国際交流基金アジアセンター)に参加した。本稿は筆者がSEND プログラムで得た学びと、その成果が派遣後の活動にどのような影響を与えたかについて述べることを目的とする。 本プログラムに参加した目的は 2 つある。一つは日本語の教壇実習をするため、そして二つ目は現状の自分を変えるためである。一つ目について、筆者にはそれまで日本語を教えた経験が一度もなかった。本学では副専攻科目の中から自由に日本語教育に関する科目を履修することができるが、教壇実習の機会を得ることができる科目はそう多くない。筆者自身座学中心の科目しか受講したことがなかったため、実際に外国で指導することのできる本プログラムに魅力を感じ参加を決めた。また二つ目の目的については、当時の筆者は非常に自己肯定感が低かったことに起因する。筆者は常に自分自身に対して「何の価値もない人間」という認識を持っており、また留学生が多い国際色豊かな早稲田大学の中で英語が話せないことに強いコンプレックスを抱いていた。当時はそのような自分を日本語教育の専門性を深めることで脱却し、自分だからこそできることを見出したいと考えていた。そのためにオーストラリアでの長期日本語教育インターンシップの参加を検討していたのだが、それまで外国での滞在経験が殆どなかったため、最初から長期のプログラムに参加する自信がなかった。そこで自分の適性と可能性を試し、自分を変える最初の一歩を踏み出すために、まずは短期の SEND プログラムに参加することを決めたのである。 2 章で述べたように、現状の自分から脱却する一歩として筆者は SEND プログラムに参加した。本章では筆者が活動を通じて成長し、達成感と自信を獲得していくまでの過程を述べていく。 □□□□ 足並みの揃わないチームメンバー□派遣に向けた具体的な事前活動準備は、担当教員によって派遣メンバーが決定されたところから始まる。派遣グループの編成は教員が学生の適性や経験等を配慮して行う。筆者のチームは学部生 4 名で構成された。筆者以外のメンバーは帰国子女や国際会議への参加□□ はじめに □□ □□□□ プログラムに参加した目的 □□ □□□□ プログラムで得た学び 年度報告 239
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