早稲田日本語教育実践研究 第5号
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6. 国際協力の世界へ (いけだ・こういち□□ 早稲田大学政治経済学部経済学科 5 年)□行うための組織編制・活動案の策定・ファンドレイジングを指揮するリーダーの役割である。発足以来 2016 年 3 月まで活動し、現在この支部は 450 万円の補助金をいただき、65人のメンバーを持つまでに成長した。□□ 私にとって国際協力は、大学一年生時にマレーシアに赴任した父と共に同国を訪ねて以来、将来叶えたい「夢」となっていた。外資系の企業で働いていた父、貧しい子供を引き取って育てていた母を持つ私にとって、世界を飛び回り、国益や企業益を超えた視点で公正な社会発展に寄与できる国際協力の仕事は、天職と思えた。そして就職活動の結果、2017年 4 月から国際協力機構への入構が決定している。フィリピンとは SEND 終了後二年半経つ現在でも、NGO 活動を通じて関わっている。前述した 2014 年の NGO 支部設立支援に加え、現在では日比 NGO フォーラムの企画運営に加え、同国で深刻な問題となっている人身売買の撲滅を目的として、国内でキャンペーン運動を行う計画を立てている。このように、SEND を契機として生まれた比国との強い繋がりなしには私の大学生活を語ることはできない。そして、これからの業務、あるいはそれを超えた範疇であっても、私は現地の経済社会の発展に向け、力を尽くしていく所存である。□SEND プログラムで得た経験は、これからも国際協力の世界で人生を過ごす自分にとって掛け替えのないものとなっている。日本語教育というテーマへの関心だけでなく、より広義かつ深遠な意味において、SEND は私に大きな学びを与えてくれた。JICA の業務は、途上国政府や民間企業、国際機関、NGO などセクターを超えた様々な利害関係者との高度な連携によって遂行される。SEND においてアイデアを形にするため、資材調達や場所の確保といった裏方の勘所を押さえつつ、日比双方の学生・教職員と対話を重ねた経験は、将来の仕事においても大いに役立つであろう。また、フィリピンという国において、将来のリーダーとなる人材と交流を持ち、また SEND 終了後も彼らと共に NGO という一つの成果を作り上げたことは、草の根レベルながらも二国の絆を深めることに寄与したと自負している。日本語教育分野において素人同然だった自分にチャンスを与えてくれたことに対し、SEND プログラムに感謝を述べたい。また、将来より多くの学生たちがこうした機会を最大限利用し、日本と世界の架け橋となってくれることを切に願っている。 □□ おわりに□236早稲田日本語教育実践研究 第5号/2017/199―260

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