□□活動の種類 現地日本語学習者への日本語指導支援 日本文化紹介活動 および学生交流 具体例 218早稲田日本語教育実践研究 第5号/2017/199―260 ・□ 正規授業での見学や独自の授業実践 ・□ TAやビジターとしての授業参加を通じた日本語学習サポート ・□ 授業外での臨時日本語クラスの開講□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 等 ・□ 書道やよさこいなど日本文化紹介を目的とするワークショップの実施 ・□ 派遣先学生と合同の文化交流イベントの開催□ □ □ □ □ □ □ □ □ □ 等 る。派遣時期は春と夏の長期休暇で、2016年の夏までに合計7回の短期派遣を実施し、合計でおよそ180名の学生が参加した。 派遣されるのは、全学部の学部生・大学院生と、日本語教育研究科の大学院生である。これらの学生が学部・学年横断で2〜10名程度の混合チームを組み、各大学で研修を行う。春と夏では派遣先が異なるが、夏はタイを中心とする6大学、冬はそれ以外のASEAN諸国の5大学で研修を行っている、受入担当の教職員の方々には毎回非常にお世話になっている(南洋理工大学のみ年二回派遣を実施)。 派遣そのものは単位取得を伴うものではないが、派遣に参加するには、指定の 2 科目のうちいずれかを履修して単位を取得することが条件である。それが、グローバルエディ ケーションセンター(以下、GEC)設置科目の「海外実習」(2 単位)もしくは、日本語教育研究科実践科目「海外実践 A」(3 単位)である。前者は、全ての学部生を対象とする全学共通科目だが、定員 23 名に満たない場合には大学院生の履修も可能である。一方、後者は、日本語教育研究科の実践研究科目のひとつであり、日本教育研究科所属の大学院生のみ履修が可能である。両科目とも、春学期に履修した場合には夏休み中の派遣となり、秋学期に履修した場合には、春休み中の派遣となる。 2.1□ SEND 短期派遣における研修の概要 派遣の特徴は二点ある。まず、具体的な活動は自分たちで企画・運営しなければならないこと、そして、所属と学年をこえた学部生・院生による混合チームで研修、即ち、“与えられた日本語教育関連の活動を企画し実施する”という課題に取り組むこと、である。 □ SENDは語学や異文化体験を目的とする海外プログラムとは異なり、コンテンツその□ (以下、PBL)タイプの海外プものは学生自身がつくりあげるProject Based Learningログラムである。もちろん、大きな枠組みは協定大学の教員と筆者により決定されるが、具体的な文化紹介活動や授業がどのようなものになるのかは、学生たちが決める。若い日本語ネイティブスピーカーが複数いるという、普段の日本語授業とは少し異なる状況を有効活用し、派遣先大学の学生のみなさんにいかに有益な日本語学習の機会を提供できるか、そこが彼らに与えられたミッションである。 取得できる単位数を考えると、準備や打ち合わせに費やす学生たちの時間と労力は大きく、いわゆる“楽勝”科目ではない。というのも、派遣先大学では、正規の日本語授業をはじめ、大学内で所属学生向けに日本語指導を行うという貴重な機会をいただいており、彼らの学習に関わるという非常に重い責任がSEND学生にはある。その重さこそが、PBLの真正性を高めていると言える。 表2□ 早稲田SEND短期派遣における活動の具体例
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