□早稲田日本語教育実践研究 第5号/2017/199―260 第三に、参加学生には事後アンケートと写真付きのレポートの提出を義務付けた。前者は短期プログラムの成果を知るため、後者は翌年度の参加者勧誘への広報資料とするためである。□□□□□ 派遣の成果と課題□予測どおり、多数の応募者を募ることは容易ではなかった。その一方で、中上級レベルの学生からも希望者が出たため、応募者が定員を上回る場合には、レベルに関係なく熱心に学びながらも日本へ行ったことのない学生を優先することにして、門戸を広げた。そして、学内のインターネットのみならず、授業内でも参加を呼びかけた。その結果、選抜に十分な応募者を募ることができ、□□□□ 年には □□ 名、□□□□ 年には □□ 名、□□□□ 年と □□□□ 年には □□ 名の学部生を早稲田短期日本語集中プログラムに派遣することができた。□また、事後アンケートやレポートを回収した結果、プログラムに関する感想や意見を把握することができた。例えば、毎年共通した結果として、実施時期や滞在先の環境、授業内容などは評価が高かった。一方で、期間の長さ、参加費、文化活動、寮の場所などについてはあまり高くなかった。特に文化活動については、「もっと日本人との交流を増やして欲しい」「もっと文化体験がしたかった」との要望が多く見られた。しかし、全体的にはまた機会があればこのような短期プログラムに参加したいという意見が大半を占め、特に他国からの学生たちと知り合い学ぶ機会があったことが貴重な経験となったようだ。さらに、□□□□ 年から □□□□□□□□□□□□□□□□□□□□が選択制となり、□□ 名中 □ 名が履修したが、選択した科目は全て聴解と会話であったことから、短期プログラムへの参加の第一の目的は、聴解と会話能力の向上にあるということが示唆された。□また、長期的な成果として、過去 □ 年間の短期プログラムへの参加者の多くが本学での上級レベルまで日本語学習を継続していることから、日本語学習の強い動機付けになるということもわかった。その意味で、初級の学生を含む学習の早期段階から派遣できる短期プログラムを提供していただいたことに感謝している。□□ 以上から、□□□□ プログラムは、早稲田大学にとっても提携校にとっても多大な意義があると言える。本プログラムへの受け入れについては、日本語を教えるという仕事を将来のキャリア選択の一つとして考えている参加者が、海外で行われている日本語教育の現場に入り、実際の授業を見学し、模擬授業という形で教壇に立つ機会を得て、さらに、自らの実践について複数の教師からフィードバックを得られるという機会は貴重であると思われる。特に、本プログラムのようにゼロレベルの初級から上級までの大勢の学生たちが、経験豊かな教師のもとで猛烈に勉強している現場に入れるということは、海外の日本語教育の一端を理解する上で有意義な経験となったのではないだろうか。さらに、他の多くの外国語との競合などの中で、日々の授業を切磋琢磨している現場の教師と交流することで、日本語教育の置かれている立場や、日本語教師という仕事に対する理解も深めることもできたのではないかと思われる。同時に、現職の教師にとっても、日本からの若い研修生を□.おわりに□214
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