早稲田日本語教育実践研究 第5号
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の下位項目を作成した。評価尺度は「A+(もっと良くなるための目標)」「A(勉強したことができている)」「B(もう少し)」「C(がんばりましょう)」の 4 つを設けた。授業内で指導・練習したことができていれば「A」とし,授業内で指導・練習したこと以上のことが出来ている場合は「A+」とした。「A+」は授業で指導・練習したこと以上の内容が項目になっているため「A」と同じ配点とした。 なお,学習者にプレゼンテーション活動の指標を明示するための「学習者用ルーブリック」,評価をする際に教師が使用する「採点用ルーブリック」と「教師用マニュアル」を作成した。 プレゼンテーション活動の初回の授業で「学習者用ルーブリック」を学習者に配布した。その際,ルーブリックに載せてある評価項目について説明し,プレゼンテーション活動の指標を明示した。また,授業での発表準備の時間にルーブリックの項目を扱うようにした。例えば,発音では「単音・アクセント・イントネーションの聞きやすさ,適切な速度,声の大きさ,効果的なプロミネンス,フィラーの頻度」を評価するため,授業における発表前の練習の時間では上記の点に留意しながら発音指導・練習を行った。 発表時に,担当教員は「採点用ルーブリック」を用いて発表の評価・採点を行った。その際,「採点用ルーブリック」の項目で学習者が出来ていなかった部分に下線を引いて,今後改善が望まれる箇所を明示した。発表の翌週の授業では「採点用ルーブリック」を学習者に返却し,発表の振り返りを行った。また,学習者自身もルーブリックの項目が達成出来ていたかを自己評価した。 学習者からは,プレゼンテーションの準備や発表時にルーブリックの項目を意識したという意見が出た。また,返却された「採点用ルーブリック」で教員が付けた下線により自身の不足点や改善点が示され,フィードバックが明確でわかりやすいという意見も出た。 学期末には報告者らで集まり,ルーブリック試用の感想や改善点について話し合った。また,試用協力クラスの教師には「ルーブリック試用アンケート」を依頼し感想を聞いた。協力者の教師からは,「ルーブリックを用いたことにより評価がしやすくなった」「来学期にもルーブリックを使用することに賛成」などの肯定的な感想が得られた。 2016 年度秋学期は「総合日本語 4」の全クラスでルーブリックの使用を実施する。 今後は試用した教員のアンケート調査の結果や学習者からの意見をもとにルーブリックの改善をしていく予定である。(たかはし まさこ,早稲田大学日本語教育研究センター)(すぎもと みほ,早稲田大学日本語教育研究センター)(とびた みほ,早稲田大学日本語教育研究センター)(やまがた じゅんこ,早稲田大学日本語教育研究センター)早稲田日本語教育実践研究 第5号/2017/189―190 1903.プレゼンテーション活動用ルーブリックの試用と今後の課題

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