早稲田日本語教育実践研究 第5号
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髙橋 雅子・杉本 美穂・飛田 美穂・山方 純子【実践紹介】早稲田日本語教育実践研究 第 5 号   科目名:総合日本語 4A,4C,4F,4H  レベル:初級 1・2 /中級 3・ 4 ・5 /上級 6・7・8   履修者数:4A20 名,4F19 名,4H19 名      (協力クラス:4C19 名,4G19 名,4J19 名,4K19 名) 2016 年度春学期「総合日本語 4」は 4A 〜 4K の 11 クラスが開講され,211 名の学習者が履修した。「総合日本語 4」の授業では口頭活動の一環としてプレゼンテーション活動を行っている。プレゼンテーション活動には全クラスで統一された成績評価の配点や評価基準があるものの,以下のような問題点が挙げられる。(1)発表はレポート活動のように形に残らないので,担当教員がその場で評価の判断をしなければならない。そのような状況の中で 1 クラス約 20 名の学習者に対して基準がぶれることなく公平に評価ができているのか。(2)11 クラスの各担当教員間で評価が公平に行われているのか。(3)「内容の面白さ」「全体的な印象」という各担当教員個人の主観による項目について,何をもって面白い・印象が良いと教師が判断しているかを学習者に納得できるように説明できているのか。(4)発表時の評価項目である発音や態度などが授業で充分に指導・練習をされているのか。 以上の問題点をもとに,教師の評価の公平性と学習者への指標の明示化のためにプレゼンテーション活動用のルーブリックを作成した。 「総合日本語 4」のコーディネーターが担当教員にプレゼンテーション活動用のルーブリックの作成・試用を呼びかけ,集まった本稿の報告者らでルーブリックの作成を行った。ルーブリックの試用は報告者らが担当する 3 クラス(4A・4F・4H)と協力 4 クラス(4C・4G・4J・4K)の計 7 クラスである。 報告者らが集まり,既存のルーブリックや報告者ら各自のプレゼンテーションの指導経験をもとにルーブリックに取り入れる評価項目を挙げた。その後,数回の修正を経て,ルーブリックを完成させた。 作成したルーブリックには,「内容」「一貫性・論理性」「話し方」「日本語」「態度」「発音」「時間」「質問」「聞き手」「Power Point」の 10 の評価項目があり,各項目に 1 〜 4 つ189―公平な評価と学習者への指標の明示化を目指して―1.「総合日本語 4」におけるプレゼンテーション活動の現状と問題点2.プレゼンテーション活動用のルーブリックの作成プレゼンテーション活動におけるルーブリックの作成と活用

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