(なかやま ゆか,早稲田大学日本語教育研究センター)早稲田日本語教育実践研究 第5号/2017/185―186 1862-2.活動の紹介(2):互いの知識・文化的背景・生活習慣を共有する 表 1 の⑤⑥⑦⑧においては,お互いの出身国や背景に関わりのある国や地域に関する情報を交換し合う。たとえば,名産品,国のレストラン,季節や行事の食べ物では,その国・地域の食材やその地域の様子などについても情報交換する。さらには個人の体験も話し合う。食文化や食事のマナーに関しても本のマナー本のような情報だけではなく,それぞれ個々の家ではどうであったのかなど個人による違いについても話し合う。2-3.活動の紹介(3):個人的体験を共有し,共感する 表 1 の⑩や⑪では,それぞれの体験から印象に残っている事柄に関して話し合う。ことに「思い出の食べ物」に関しては,食べ物にまつわる家族の思い出を話す学習者が多く,「(話して)あたたかい気持ちになった」などの感想が聞かれた。その他テレビ番組の映像教材,各学生の所有するスマートフォン,学生が書き込むためのワークシートなどがある。 学期初めの時期に担当教員の作成した冊子「食に関する語彙・表現集」を配布する。ここには調理法(切り方や火加減を含む),食材,調味料,肉の部位,分量,調理器具,食に関係のあるオノマトペや味覚表現を掲載している。学習者には授業時に携帯するよう指示し,新出表現を適宜書き入れるなどして「自分だけの食べ物の言葉の辞書」にするよう奨励している。またハンドアウトは担当教員が執筆または書き下した読解教材の他,画像を多く載せたものを配布している。 本実践の成果物は「文集」である。文集に含まれるのは(1)自己紹介(2)早稲田のレストラン紹介(3)東京のレストラン紹介(4)私の国のレストラン紹介(5)私のレシピ(6)思い出の食べ物作文である。 (2)(3)(4)においては,所在地,店の説明,値段などが書かれ,「グルメガイド」として使用できるようにした。また(5)は分量,手順を細かく示し,できれば画像も掲載して実際に見ながら料理できるものとした。 平均して 30 〜 35 名の履修者がおり,プレゼンテーションにかなりの時間を費やしている。学習者からは「学びになる」「面白い」という声も聴かれる反面,人の話を聞くことが続いてしまうのでやや緩慢になってしまっているかもしれない。学習者の一人一人の細かいケアに関しても悩ましいところである。3.教材・教具4.成果物5.課題
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