早稲田日本語教育実践研究 第5号
185/272

小野寺 美智子 【実践紹介】早稲田日本語教育実践研究 第 5 号   科目名:日本語で学ぶ時事問題  レベル:初級 1・2 /中級 3・4・5 /上級 6・ 7・8  履修者数:20 名前後 この科目は,新聞記事の講読や TV 番組の視聴を通して,今,話題になっている国際的・社会的な事象等の時事問題についての知識を得るとともに,そこで使われている語彙・表現の理解を深めることを目的としている。さらに,その時事問題について口頭で説明ができ,自分の意見が述べられるようになることを目指している。 授業で扱った時事問題について,教室外においても関心をもち,自ら深く考えるきっかけとなることを期待している。2-1.授業の進め方 授業は,活動内容によって大きく 3 つに分け実施している。まず(1)新聞記事等の講読である。講読を始める前に漢字の読み方の確認を行う。教師が作成した漢字リストに各自読み方を書き込んだ後,読み方リストと照合する。翌週に漢字読み方クイズを受け,さらに定着を図る。漢字の読み方を確認した後,教師が用意したワークシートに沿って「読み」の活動を進める。ワークシートの内容は,テーマや文章構成等によって異なる。例えば,形式段落で構成されている新聞記事については,段落間の関連性を問う問題や精読に入る前に各段落のはじめの文から全体の構成を把握するためのタスクを設けている。ワークシートは,クラス全体で行う場合もあれば,グループごとにディスカッションし,発表するという形をとることもある。 次に(2)TV 番組の視聴を行う。TV 番組は講読で扱った時事問題に関する内容のものを選び,視聴することで既に学んだ語彙・表現の定着を図る。TV 番組の視聴も教師が用意したワークシートに沿って進められる。新聞記事等の講読と TV 番組の視聴は,7:3の割合で講読が中心となる。 学期の後半には,(3)学生が自ら選んだ時事問題について口頭発表あるいはレポートを提出する。いずれも授業で扱った時事問題以外のものからテーマを選び,参考文献 2 点にあたることが課せられている。口頭発表を選択する学生は,事前にレジュメを提出することになっており,各学期 6 〜 8 名(受講生の約 3 分の 1 の人数)が 2 〜 3 回に分かれて口頭発表を行う。発表後に質疑応答を行うが,それが全体討論に発展することもある。1811.授業のねらい2.授業の概要「時事問題」の内容を整理し,話し合う

元のページ  ../index.html#185

このブックを見る