早稲田日本語教育実践研究 第5号
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早稲田日本語教育実践研究 第5号/2017/3―20 と思う。自分のレベルがもっと高くやるべきだと思う。 □先生,お世話になっております。 □ 自由発表は自分が好きなことをクラスメートにシェアできるし,話すことに上手になったからいいと思います。 ・ 先生,今学期,お世話になりました。本当にありがとうございます!先生の授業が大好きです! □はっぴょうじかんをぞうかしたらいい! □ みんな外国人で,日本語の発表はそんなに簡単じゃないので,好きなものを選んでテーマにして発表することはよかったと思う。自分で選んだから自分のテーマについてわかることが多いし,紹介したいものについて発表することは「負担が大きい」と思わなかったので,他の日本語の発表の練習になれる。 (合計 9 コメント)5-1.「自由発表」とモチベーション 上記のように「自由発表」後のアンケートから,「自由発表」の活動に対する学習者の前向きな評価/意見が聞けた。それは「自由発表」が学習者の「話す」活動に対する意欲を高めた可能性があることを示唆している。 自己決定理論では,基本的欲求(有能性の欲求,自律性の欲求,関係性の欲求)を満たしたときに,モチベーション(Intrinsic Motivation)を高めることができるとしており (1) 「有能性の欲求」(the need for competence):行動をやり遂げる自信や自己の能力を顕示する機会を持ちたいという欲求(田中・廣森, 2007, p.62)。 (2) 「自律性の欲求」(the need for autonomy):自身の行動がより自己決定的であり,自己責任性を持ちたいという欲求(田中・廣森, 2007, p.62)。 (3) 「関係性の欲求」(the need for relatedness):周りの人や社会と密接な関係を持ち,他者と友好的な連帯感を持ちたいという欲求(田中・廣森, 2007, p.62)。 上記 3 つの欲求について,「自由発表」後の協力者のコメントと照らし合わせながら以下のように考察を行った。  5-1-1.(1)有能性の欲求 学習者はクラスの成績に影響がないにもかかわらず,一生懸命「自由発表」に取り組み,さらに自分の日本語力向上に役に立ったと評価している。「5.自由発表は日本語の勉強になった。」という質問に対して,15 人中 14 人が「はい」(うち 2 名は「とても」)を選択している。そしてその内容は,「文型と文法はよく上達しました。」「日本語の話し方を上手になってきた(以下略)。」「日本語ですこしはっぴょうができるようになった。」な145.考察(Ryan & Deci, 2000),田中と廣森はさらにそれぞれの欲求を以下のように定義している。

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