記 事(もりもと けいこ,早稲田大学日本語教育研究センター)分野社会 熊本地震2016 年春学期教育 日本の教育問題〜校内暴力・不登校国際 オバマ大統領広島訪問記 事日・読売等)の読解に挑戦する形をとっている。3-2.授業の内容と進め方①日本の新聞の基礎知識を学ぶ。ものを選び,1) 〜 7)の手順で活動を行う。1)小学生向けの新聞記事について,漢字とことばのワークシートを予習課題として配布。2)授業で漢字やことばの意味,文型,その他の表現を確認し,正確な読み取りを行う。3)ワークシートに従い,内容を要約し理解する。4)漢字・ことばの小テスト。5)関連のテレビ・ウェブニュースを視聴する。6)同内容の中高生新聞の記事を読み,表現がどう置き換わっているかを理解する。同内容の一般紙に挑戦する。7)記事の背景にある社会問題について,テーマを決めてディスカッションする。お互いのものを読んで評価する。新聞社見学をする。要と選んだ理由,記事に対する自分の意見を発表する。表 1 クラス全体で読んだ記事(2015 年・2016 年春学期)分野社会 ドイツの旅客機墜落2015 年春学期経済 AIIB への参加国際 「イスラム国」と混乱する中東情勢 毎週かなりの量の課題が出されるにも関わらず,学生は果敢に取り組み,語彙の意味等を調べ,事前に記事をよく読んで授業に臨んでいる。新聞に頻出する表現や記事内容の理解,背景にある社会問題に対する関心も非常に高く,時折上級クラスに匹敵する深い議論をしており担当者として驚いている。期末アンケートでは「日本語の新聞を自分で読める自信がついた。」「留学中に世の中で起きているニュースを知ることができてよかった。」「帰国後も日本語のウェブニュースを読んで,日本語を忘れずに学習継続したい。」という声が多かった。学生が必要な活動に出会う時,予想以上に高い意欲と能力を発揮するのだという手ごたえを感じている。一方で,このようなクラスでは常にリアルなニュースを扱うことが肝要なため,教材の繰り返し使用ができず担当者の負担が大きい。学生の熱意に応え今後もクラスを継続していくためにも,授業や準備の在り方を検討し工夫して努力を重ねていきたい。また,3 レベルの学生には授業の難易度が高いと感じられるため,本科目のレベルを 45 に変更し,新たに初中級向けのクラスを設けたいと考えている。② 学生アンケートで希望の多い 3 つの分野について,教師が学生の希望を参考に適当な③ 社説の比較・四コマ漫画・コラムについて学び,自身の関心事についてコラムを書き,④ 学生一人ひとりが小学生・中高生新聞の記事の中から,興味のある記事を選び,その概4.学生の反応と課題早稲田日本語教育実践研究 第5号/2017/171―172 172
元のページ ../index.html#176