早稲田日本語教育実践研究 第5号
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②〔字形〕 正しい字形を選択する問題である。字体は一定の具体的な形状を持たない,抽象的な概念である。文字として認識できないものは漢字として認識されず,その役割を果たせない場合もある。そのため,図 5 のように 4 つの手書きの漢字のバリエーションから最も適切な字形を選択する問題を用意し,字形に注意を払う機会とした。とめ,はらいなどをどの程度教えるかなどは教師の教育観によるところも大きいが,細部まで丁寧に学習したい学習者や手書きの文字が読み手に与える印象の大きさを考慮して問題に加えた。③〔読み〕 正しい読み方を考えたり,整理したりする問題である。漢字学習の困難な点として音読み,訓読み,熟字訓など複数の読み方があることが挙げられる。学習者の負担を考慮し,必要な読みを優先して覚えることも可能であるが,学習する漢字にどのような読みがあるかを一通り整理することは学習者の将来のためにも重要であると考える。「ワークブック」では読みが複数あるものについて丁寧に整理を行う。熟字訓のような特別な読みには図 6の問題⑬「風邪」にあるように記号「※」を添えて注意を促してある。また,未習漢字にはルビが振ってある。なお,出題される漢字の読みについては「メイン教材」で扱ったものであるため,「メイン教材」を参照しながら問題を解くことも可能である。図 7 は「メイン教材」の 164 ページにあたるが,このページでは以下のように「風」を用いた語の訳付きの一覧を見ることができる。165岩崎陽子・古賀裕基/『ストーリーで覚える漢字300ワークブック』紹介□□□□□□□□□□□□□□□□a.□d.□□□□□□□□□□□□□□□ 1.□4.□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□□図 4 意味を類推する問題例(『ストーリーで覚える漢字 300 ワークブック』p.80)図 5 字形を選択する問題の例(『ストーリーで覚える漢字 300 ワークブック』p.81)

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